千葉のSCを辞めた。
少し仕事をする事が面倒になってきたからだ。
この理由は様々だ。
本社との軋轢もある。
が、シカシ、本当は所沢からの釣りを、再開したかったからだ。
当時流行のルアーによるバス・フィッシングに飽きていた。
千葉は、ファーム・ポンド・・・農業用水池が多く、まさにバス・フィッシングのメッカだ。
休みのたびに出かけていた。何故か、海釣りには向かわなかった。
それをしている仲間がいなかった、と言う事だろうか。
所沢で買いそろえていたFF(フライフィッシング)の道具を、こちらでは使うチャンスがなかった。
当時は、千葉のそのSCは年間20日の定休日しかなかった。正月は元旦だけだ。
当然店長職であるボクは、会社規定的には時間管理ナシなので、カレンダー通りに休んでも何の問題もない。
しかし、殆どのテナントの店長は、年間20日の休みなのである。事務の女性だけをおいて、釣りに行くのはシノビナイ、と言うものだ。
定休日でも、出勤して棚卸、靴の修理をしている店長もいる。
定休日にも早朝から釣りに行かずに、朝必ず店に寄ってネギライの言葉を掛けてから出かける。
営業的な信頼とは、そうしたものだ。
また、営業を20日しか休まなくてイイ!という仕事感覚も身についていたしね!
千葉にはヤマメ、岩魚の生息する渓流は皆無だ。
つまり、FFのために青梅、群馬などへ遠出が出来ない!という事だ。
3月に一気にキレタ。
辞表を提出。それまでの引き止め説得工作もなんのその・・・。
この間の事を書くのは少ししんどい・・・。
個人的に6月にオープンするSCの仕事が来ていた。
それを受けて、こなしてから、7月から
「そうだ信州へ行こう!」計画を立てた・・・。
当時「DATSUN ピックアップトラック4WD」に乗っていた。それのガスケットがいかれ、ボンネットから煙が噴き出し、修理に20万もかかっちまった。その自動車屋で、現在は生産中止になった「マークU ステーションワゴン」に買い換えた。
その自動車屋は、所沢の手前の東村山にあった。
マークUに乗り換えその帰り道に、新青梅街道の途中にある、フランスベッドが始めたアウトドアSHOPに寄り、道具を買い揃えた。
コールマンのランタン、コンロ、寝袋、クーラーBOX・・・
店の人が聞いてきた。
「ご休暇ですか?」
少し羨むような言い方だった。それって演出?
会社を辞めて、遊ぶんです♪とは言えないじゃん!
「はぁ〜2ヶ月ほど・・・」
「○○さん!こちらの方、2ヶ月も休みがあるんだって!お相手して!」
お相手してとは、接客して!の意味だ。
でかい声で言ってんじゃね〜よ!
2ヶ月休みの日本人サラリーマンなんているわけね〜だろ!コイツ、会社辞めたなっ?がアリアリの顔・・・と、思いながら、愛想笑いの店長に力なく笑いを返したボクは、少し恥ずかしかった・・・。
しかし、
「そうだ信州へ行こう!」なのである。
全然罪悪感などナ〜イ!
ここで、7万円ぐらい使った。
これらの道具は、全て今でも現役である。さすが、
コールマン!
そうして、着々と
「そうだ信州へ行こう!」計画が進行して行ったのである。
夏目前の暗いんだか明るいんだか分からない、だが、開放感だけはたっぷりの笑顔に満ちた30歳の陶ちゃん(違うけど)だった。
続く

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