研修所で並んで体育座りした暗闇・・・それが嬉しくて二人で笑った事・・・彼女の笑顔。
書いていて、ボクはセツナクテセツナクテ・・・Yさんに会いたくなった。
9年前の同窓会名簿を取り出した。
Yさんの名前は、旧住所のままだった。
クラス会連絡委員の、教師をしているOさんに電話してみた。
「陶ちゃん(違うけど)・・・今でも好きなの?」
「そうじゃなくてさ・・・前の名簿・・・旧住所だし・・・」
「三年前の同窓会に来たよ、彼女・・・スゴク変わっていた・・・誰だか分らなかった・・・離婚したという話ダケド・・・アンマリ話さなかったから・・・」
「そうなんだ、オトトシ、オフクロ倒れて行けなかったんだよなぁ〜同窓会。今年はやるの?・・・えっ?離婚したって?」
「今年やるよ〜同窓会、陶ちゃん(違うけど)来るでしょ?」
「うん・・・夏ね忙しいけど、時間合えばね・・・でさ・・・」
「Yさんの電話番号でしょ?聞いてあげるわよ・・・待っててね!明日中には電話する・・・フフフ」
「いや、情報としてさ・・・ははは・・・」
「何言ってるのよ〜陶ちゃん(違うけど)電話してみればイイジャン!」
翌日電話があった。
それは金曜日だった。
「陶ちゃん(違うけど)・・・今年ね・・・ひまつりミンナで行くからね!」
連絡委員のOは言った。
ボクはOさんが言う電話番号を粘土だらけの手でボールペンを握り、メモ書きした。少し手が震えた。後にYさんに電話する時よりも・・・興奮した。
離婚してる?
子供が家にいるのか?
再婚していれば、何時に電話するのがBESTなんだ?
日曜日の夜・・・旦那が出たら、同窓会名簿委員です!・・・で切り抜けるか・・・!子供が出たら・・・ナンダカ面倒だな!
月曜日の朝電話して、誰もいなかったら、再婚せずに仕事をしている・・・。
彼女が出たら再婚して主婦をしている・・・。
まぁ、話せればいいのか・・・。
月曜日の朝に電話をした。
ドキドキしていた。
「もしもし・・・」
出た!再婚してあれか・・・主婦か・・・。
「あの、ボク・・・○子さんが中二の時に同じクラスだった・・・陶ちゃんです・・・」
「えっ?・・・ゴホゴホ・・・ごめんなさい
風邪引いちゃって・・・頭がぼ〜として・・・
ゴホゴホ・・・陶ちゃん?・・・
ごめんなさい・・・同級?ごほごほ・・・ボーとして思い出せない!
陶ちゃん・・・?ごめんなさい・・・ゴホゴホ・・・ 」
思い出せない・・・!
( ̄▽ ̄;) (KYOちゃんお借りしたぜ〜絵文字)
「ありゃ〜、Y・・・風邪ひどいんだ・・・」
「そうなの・・・仕事休み貰って・・・」
仕事している?再婚は・・・ないのかな・・・?
「あれ?二人で働いているの?」
「アノネ・・・離婚したの・・・ワタシ・・・もうね20年近いのよ・・・」
「そうなんだ・・・じゃぁ〜お子さんは大きいね?」
「もう結婚して別に暮らしている・・・男ね・・・」
「じゃぁ・・・独りなの?」
「そうなの・・・アノネ・・・ず〜と大変だったの・・・独りで・・・」
「・・・あの・・・オレ・・・思い出せないの?」
「ごめんなさい・・・ゲホゲホ・・・熱があって・・・」
( ̄▽ ̄;)
「あのね・・・この電話ね・・・普通出ないんだ・・・転送は別の電話でね、コレに出る事はないんだ・・・良くわからないけど・・・普通出ないんだけど・・・出ちゃった・・・」
「運命!と言いたいけど・・・思い出せないんでしょ?オレの事・・・」
「ごめんなさい・・・ゲホゲホ・・・独りで寝てるから・・・なんか疲れちゃって・・・」
「あぁ〜・・・ゴメンネ・・・なんか懐かしくて電話してみたんだ・・・
また電話するから・・・」
「そう・・・ゴホゴホ・・・携帯・・・・だから・・・電話下さい・・・ゴメンネ・・・今度会おうね・・・」
「・・・まだ思い出せないんでしょ?」
「ウン・・・」
( ̄▽ ̄;)
携帯番号を教えてもらった。
ボクは水曜日に電話してみた。あの地震&大雪&母の入院の日である。
母を降ろし、病院の駐車場の車の中から電話した。
外は真っ白な雪が降り出している。
「まだね調子悪くて三日休んじゃった・・・
陶ちゃん・・・思い出しちゃった・・・へへへ
ゴメンネ・・・ズーと熱があって・・・」
「地震大丈夫だった?・・・凄かったけど、そっちど真ん中じゃなかった?
「うん、アノネ・・・怖かった、スゴク怖かった・・・独りでオロオロしちゃった・・・」
「・・・今度逢おうか・・・?」
「うん、そうだよね・・・
私ね・・・離婚とかで揉めて、スゴク大変でね・・・卒業アルバムとか、全部置いたまま出てきたから・・・ホントニね・・・大変だったから、昔の事思い出せないの・・・」
「でも思い出してくれたんだ・・・」
「うん・・・この前は、ゴメンネ」
風邪の治りかけの話し方は、紛れもなく彼女だった。
ボクは、過去を検証したいのでも、未練なのでもないんだ。
一旦離れた友を・・・また、前のようには行かないかもしれないけれど、楽しくやれればいいんじゃないのだろうか。
たまに集まって、顔を会わせたいな・・・!そんな気持ちが強いんだ・・・。
「今・・・何処に住んでるの?家は?」
「アノネ・・・家安い土地買って、建てちゃった!
ココね・・・携帯入り悪いの!
離婚してからね・・・だから15年ぐらい?家は・・・
いろいろあってね・・・中学のときの・・・実家の・・・近所の人も思い出せないの!」
「苦労・・・シチャッタね・・・!」
「ウン・・・ホントニ苦労しちゃった!ミンナなにか背負って苦労してるから、ワタシだけがなんで?・・・とは思わないけど・・・苦労しちゃった」
それはね・・・ボクと一緒にならなかったからだよ!・・・そう言いたかった・・・。
「今は・・・もう、お子さんもそんなじゃ、気楽になったんでしょ・・・」
「今がね・・・一番いい・・・なんだか楽しく生きられるの・・・やっと、今が一番イイ!・・・やっとそう思えるの・・・」
「家持ってるんじゃ安心だね・・・
じゃぁ・・・週末に電話するね・・・明日から仕事だね・・・
風邪、辛いね・・・」
「じゃぁ・・・日曜日・・・逢おうね・・・仕事中でも携帯電話して大丈夫だからネ!」
そういうわけで・・・日曜日に再会予定!
最近のボクだから・・・何があるかわからないが・・・!
ある人は言った。
その時のイメージとのギャップでがっかりしなければいいケレど・・・。
違うのだ・・・どんな変化をたどろうとも、ボク達は 友 なのだ。
続く・・・

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