ボクの記憶では、掃除の時の彼女とか、なんとなくの記憶の断片しかないのだ・・・。
話は六年後に飛ぶ。
辛い記憶の・・・始まりだった。
何故ならボクは、Uターンしたににもかかわらず、翌2月に東京に転勤になるからだ。あの「所沢グラフィティ」へと続くのだが、旧交を温めるまもなくこの街から出て行ったのだ。
そして六年後、ちょっと身体を壊し、失意の元に再度田舎に帰り、陶芸修行を始める前のころに話は飛ぶ。
K子さんが結婚したという話を聞いた。
小学校の近くのボクの知っている人の家だった。
一つ上のお姉さんとボクは知り合いだった。彼女はウチのそろばん塾の生徒さんだったからだ。
その兄と結婚したらしい。
その家は、吝嗇で有名な家だった。
そのお姉さんは嫁いでいないから四人家族だったと思う。
こんな話を聞いた。
夕飯。メニューはカレーライス。
銀行から帰って来て夕飯の支度をする。姑が指示する。
レトルトカレーがみんなに配られる・・・。
そんな家庭だったらしい。
彼女が銀行の窓口業務のときに、顔を見たことはある。
話しかけるのは、ボクの置かれてる立場の自信の無さから憚られた。
ボクはプータローだったから・・・。
しばらくして、彼女は営業に回った。
何故知っているかというと、ボクのウチにも彼女は営業に来たからだ。
定期積み立ての営業だった。
おフクロはK子さんの事を気に入っていた。
ボクの同級生という事をK子さんに聞いたらしい。
素朴な可愛いK子さんは誰からも好かれていたのだと思う。
ある日、ボクが家にいると・・・
続く

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