夕暮れにやってきた業者と車に納品するダンボールを運んだ。
それが、終わりお茶でも・・・と言って、インスタントコーヒーを出した。
陶ちゃん、他に新作とかは?
ぐい飲みあるから、持っていきます?
新作というかサンプルということで、差し上げますよ
サービス!
それを包んで車の中のダンボール箱に入れた。
もう冬の夕暮れが辺りを包み始めていた。
冷気もその闇から降りてくるようだった。
年末に現金収入だ。
夜の10時ごろだったか?当然呑んでいる。
電話が鳴った。
さっきの業者からだった。
陶ちゃんさ・・・
さっき、ぐい飲みくれたよね
何処探しても無いんだけど。
あれ?
車に入れましたよね?
見てましたよね?
業者が豹変した。
なんだよ、うちの女の子とこんな時間まで荷物出して、探しているのに、嘘でも付いてるつうのか?
サービスになってね〜じゃんかよ〜
今までの蜜月時代が嘘のような喋り方だった。
窯場探して見ますけど・・・
そう言ってコードレス電話をもったまま窯場に降りてみた。
暗い窯場に、モノがあろうはずがなかった。
やっぱり無いみたいですね
なんだよ、こっちが嘘付いてるみたいじゃないの
こんな電話でいくらかかると思ってるんだよ!
そう言って電話が切れた。
不愉快な年末だった。
ぐい飲みは、エアポケットにでも入ってしまったのか?
サービスであげたものが見つからなくて怒る・・・。
仕事遅くなってイラついていたのだろう。
ボクは不遜なのである。
インカム付けたい売れっ子激忙陶芸家なのだ(笑)。
まぁ、相当取り引き合ったけど・・・。
こんな威嚇するような業者、これで終わった方がましだな・・・。
年末に窯を焚き、正月に納品という、まだ景気のいい時代でもあった。
そうして、1月の末に、またその業者から電話があった。
そう、神は、復讐の機会をボクに与えてくれたのだ。
不遜な陶ちゃん(違うけど)何処へ行く!
続く

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