身体を壊して田舎に帰ってくる直前のころの話である。
本来ならヤル気の30歳・・・ごろだったか?
当時付き合っていた彼女は犬を飼っていたのだが、ある事情で(引越し)犬を手放す事になり、彼女の実家の島根に預ける事になった。
ボクが休職中でヒマだったのと、中国地方に釣りに行きたかった思惑が合致した。
当時は千葉に住んでいた。
彼女は霊感の強い女だった。
今から島根の実家に行くというのに、実家での恐怖体験を話し始めた。
彼女の母は早くに亡くなったらしい。
父と姉との三人暮らしだった。
ある風の強い夜、家族が寝ていると土間の玄関の方から人が呼んでいる気配がする・・・
誰も起きないので、彼女は寝ぼけながらも布団を出て、土間のところに行った。
玄関に誰かがいる気配がする・・・。
彼女は土間に降り、取り憑かれた様にボーと玄関の曇りガラス戸を見ていると・・・戸がゆっくりと開いた。
亡くなった母親が彼女に手招きをしていた。
オイデオイデ・・・
彼女がそれに頷き、母親の所に・・・玄関を出ようとしたその時・・・
父親が彼女を抱きすくめ土間にしゃがみこんだそうだ。
あのまま玄関に出て行ったらどうなっていたのかと、彼女は言った。
おやじさんや姉さんにはお母さんが見えてなかったんでしょ?
私が、お母さん、お母さん・・・て、言ってたんだって
灯かりもないのに、お母さんのいた所がボーと明るいのよね〜
戸も自然に開いたのよね〜・・・
小4のころね
・・・・
そんな実家にボクと犬が旅立ったのは数日後だった。
朝の8時に千葉を出た。
旅は、そんな話をすっかり忘れ、五月の明るい日差しと、平日で空いている東名高速を走る我々には本当に快適だった・・・。
続く
*タイトル替えました。
*我々・・・ボクと犬のコンビです。雑種の中型犬。・・・追記

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