一昨日の話だが、国道を歩いていたら前方でなにやら作業員風の男数名が駆け回っていた。
道路のメンテナンス工事でもしてるか、まあなんにせよ工事だろうなと思いながら、その近くを通りかかった。その時、道路を走り回っていた作業員たちが、何をしているのかが判明。交通事故があり、その後始末をしていたようだ。轢かれたらしい死体を軽トラに積んで運び去るところだった。
死んでから結構時間が経っているのか、男数人がかりで死体を持ち上げる時、首が不自然な方向に曲がったまま固まっているのが見て取れた。死体を持ち上げても首がだらんとしないのは固まってるとしか思えない。死後硬直という奴だな。
軽トラは、通り過ぎた俺の後ろで死体を乗せて走り去って行った。
いつ事故があったのかは知らないが、ちょっとだけびっくりした。ちょうどその日、バイパスが諸事情で半端じゃなく混雑していたので、その道を使う人も多かったようだ。道路の隅にあんな死体が転がってたら、通りがかった人もさぞやびっくりしたろうな。俺もさすがにうひょうとか思ったし。
現場はちょうど緩やかなカーブになっており、しかも上り坂から下り坂になる、視界の悪いポイントだ。そして、その道は有料道路と言うこともあって普段交通量が少ない。事故があったのも、恐らくまだ料金所が閉まっててタダで通れる夜から明け方だったと考えられる。死んだ方も悲惨だが、ぶつけた方も度肝を抜かれたことだろうな。
闇か薄闇の中、他に車のいない広い道路を気持ちよくかっ飛ばしていたら、カーブを曲がった途端目の前に大きな影が!避けきれない!
もう、死ぬかと思うわな。いや、轢かれた鹿は死んだけど。車も、ドライバーの気分も、さぞやへこんだことだろう。
事故そのものよりも、こんなところに鹿がでるとは。猿ならちょくちょく見かけたが、鹿は初めてだ。そのうち生きてるのにもお目にかかれるかも。何はともあれもっと山奥に出るものだと思ってた。百人一首にもあるよな。『奥山に もみぢふみわけ なく鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき』鹿と言えば奥山なんですよ。
しかし、うちの近所はともかく、事故のあったところは数メートル先は山としか言いようのない状況だし、うちのあるところだって山奥でこそ無いものの、山縁じゃないとは決して言えない場所だ。
クマに注意の看板もあるし、鹿くらいならいくらでてもおかしくないレベル。むしろ今まで遭遇してないのが奇跡なのかも知れないな。
帰り際、死体のあった場所を見たらちょっとだけ血溜まりが出来てた。さすがに悪趣味なので写真は撮らなかったが。
結構状態のいい死体だったけど、あれはあの後どうなるんだろう。どこかで食うのかね。
そう言えば、冷凍庫にちょっと前にもらった鹿肉があるんだけど……。食わないと冷凍とはいえ悪くなるよな。冷凍焼けして風味落ちたりさ。肉が硬いから、しっかり味付けすると歯ごたえがあって酒のつまみにはいい感じになることが判明した。飯のおかずにはちょっと向かない。あごが疲れる。
しかし、俺の生活圏内にまで鹿が出没するようになっているってのは、やっぱり増えてるのかね。増えてきてるなら猟友会の皆さんも引っ張りだこで、それに伴って鹿肉の供給量も増えるんじゃ。大型スーパーにワンコーナー出来る日も近いか。
なんか、この辺の鹿って微妙にニホンジカじゃないんだってな。ヒトラーが連れてきたドイツ娘の血が入ってるんだと。おかげで大型で繁殖力も強いそうな。
こりゃあ、マジでスーパーにワンコーナー要るな。

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