§13 絶望したらこの場所へ
ネザーの厳しさに絶望した俺は、もっと安全そうな新天地を探すことにした。
街道も整備したし手前側の地形はだいたい把握できてるので、いよいよあるいはとうとう絶望山脈の開拓に手を着けることに。いくら絶望山脈だって、ネザーよりは平和だろう。とは言え内陸を突っ切って何度絶望したか分からないので、ひとまずは海沿いを行くことにする。
絶望西海岸。切り立った崖が続くが下の方は案外歩きやすい。歩きづらけりゃ掘るまでだ。ひたすら岩と海の景色が続く。海は珊瑚が綺麗だが見とれる余裕はもちろんない。水中から見上げてる奴らが一杯いるし。たまにトライデント飛んでくるし。
そろそろ日暮れ、夜になると水中のあいつらが陸に出てくる。ヤバくなる前に帰るぞ。引き返すとき、山の上から溶岩が垂れる火口が目に入った。見覚えある火口だぞ、ここが絶望山脈って名前になった時にみた奴だ。これってここにあったのか。目印に良さそうではあるが、向きが悪くて見える範囲は限られる。目印にならないじゃん!
次は東海岸。こっちは砂浜で歩きやすいが湾や岬が多い。一見見晴らしこそいいものの、まともに海岸沿いにいくとえらい回り道になる。泳ぐと早そうだが一緒に泳ごうと緑色に腐ったあいつらが待ち構えているので急がば回れだ。
どうせ急ぐなら平和な陸路で急ぎたい。岬を突っ切る道を整備することにする。しかし内陸は起伏が激しく生い茂るトウヒの木で視界も悪い山だ。真っ直ぐ歩いているつもりでも、木を避けたり崖を上り下りしているうちに方向さえ見失い、案の定迷った。これが絶望山脈だ!
俺はこのまま森の中で森の人になってしまうのか。……ジャングルで暮らしてるんだから元々か。その時目の前に現れたのはネクロノメコン川。絶望東海岸の地図で存在が明らかになった蛇行する渓流。その流れをたどれば海に出られるはず。だがネクロノメコンの名の通り蘇りし骸どもの大量出現ポイントになっている上、岸は切り立ち隠れる場所もなくトライデントの的になりがち。っていうか的にされて死んだし。このパターン何度目よ。森の人にはならなかったが、川のもずくになった。川じゃもずくは獲れねえよ。なお、植えて育てれば昆布は獲れる模様。
開拓を進めていくならばこのあたりの整備が喫緊の課題と定めてそのための新拠点の建造に取りかかる。ぶっちゃけ、サンディーレイクベイの拠点は街道整備したら初期拠点から近すぎたし。
そして新天地の拠点に望まれることはもう一つ。ネザーにリベンジするためにはガストを打ち落とせるように弓の腕を上げねばならない。って言うかそれ以前に矢が欲しい。その為には鶏から獲れる羽根が必要だが、ズンダナオに隔離した鶏さえそっちに山猫が渡ってしまい全滅させられる始末。もう、ジャングルで鶏を育てるのは諦めるべき。そこら辺に放し飼いにしていては全部山猫にいただかれてしまう。囲うのは面倒。って言うか後から思えば囲ったところで柵の中で山猫湧きそうだし。鶏を安心して育てられる山猫の来ない新天地はやはり必須であろう。
飛び道具の腕前を上げるという意味で、手軽に使えそうなモノも山にはある。雪玉である。その雪玉の入手もまた、山に登りやすい山麓の拠点があれば便利。
そんなポジションに、新拠点の設立が始まった。

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