オーケストラに限らず、舞台というものには必ずと言っていいほど楽器(人間)の配列が実に細かく決められている。
楽団と呼ばれる形態は数あれど、一度の講演でころころとその配列が変わるのは吹奏楽と管弦楽くらいのものであり、通例慣習かしてはいるものの、例えばジャズトリオやコンボ、ビッグバンドの奏者からしたらそれは異質である事、またその配列には明確な目的とねらいが存在する事をクラシック音楽奏者は理解せねばならない。
そもそもオーケストラの舞台形式というものはその成立に諸説ありこそすれ、今現在遺っているものからしての考察は難くない。
弦楽器の合奏団に次第に管打楽器が混じっていった、と考えてもらえばあながち間違いでは無い。
先ずは弦楽器の配列から考える。
古き時代、その配列は種々様々、自由であったが、今回は大体今現在に遺る形式についてのみを考察の範疇として頂きたい。
大体今現在の弦楽器の配列は、客席からみて左側から第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスであることが多い。
高音から低音へ順であることは理解を得られやすいと思われるが、何故「客席からみて『左側から』高音」なのだろう。
自己の考察の結果であるが、二種の理由の想像がたやすい。
第一に、『バイオリンの長たるコンサートマスターが下手から現れる為』である。だがこれは、勿論可能性は無ではないが、コンサートマスター入場の儀礼の概念の具体化との順が不確かな為、『配列が先か、はたまた儀礼が先か』の問題に陥るので、的確とは言い難い。
そこで第二であるが、これにはバイオリンとビオラの楽器の保持の仕方に着目すればこそ得られやすい。
二種の楽器はどのように保持されるか。
『左顎部と左肩により固定され奏される』のである。
バイオリンとビオラは弦を摩擦させる事により発音という現象を生み出し、胴体、所謂魂柱により連結さる表板と裏板が其れを促し、共鳴する。
則ち音は楽器胴体、特に魂柱を中心としておおよそ同心円状に拡散していくのである。ラッパ等は音の出口であるアサガオ(ベル)から放射状に広がるので、その性質は全く異なる。
しかしこれは単に弦を摩擦した場合にのみ言える事である事に気付かねばならない。
同心円状に広がるには不適当な環境で、彼らは奏される。そう、奏者の頭部に阻まれて。
上手い弦楽器奏者は左顎部によく損耗をきたすそうだ。それに比べ発音の地点に近い左耳の不具合はあまり生じない。所謂骨伝導による結果であろう。どんなにきつく絞めた新幹線のビスやネジも、微々なれど長くに振動を加えられる事により摩耗する。それが奏者にも起こるのだ。
頭部に阻まれるからして、音は左側によくとぶ。メロディのみならず、楽団の主たる存在であるバイオリンは、楽団全体によくその音を響かせなければならない。
故に、左側から高音楽器は列んでいるのである。
チェロやコントラバスも左に楽器を保持する。
しかし彼女(楽器の性別上)らは地にしっかりと針を刺し、大地に根をはり、いかなる障害も受け付けずに音を伝えるのである。
話は脱線するが、地に足をしっかりつけぬ弦楽器奏者をみると、その奏者は損をしているような気がして勿体ない。
先述したが、生まれた音は骨伝導により体を伝う。
チェロはコントラバスはそれをパスしてダイレクトに楽器から直接地面に伝えているわけだが、バイオリン、ビオラもその力を利用しない理由が無い。
足を組むなどして足を地面から話す、爪先のみつける、踵を離すなど…それらを勿体ないと思う自分の気持ちが分かって頂ければ嬉しい。
その他の弦楽器の配列形態、管楽器などは後述する。
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