無事病院から立ち退き、結果待ち。試験の結果を待つよりも緊張します。
今回は予告通り『演奏会最中』についてのお話をさせていただきます。
コンサートが始まる時間は『開演時間〇時〇分』とチケット等に記載されています。同様に『開場時間〇時〇分』とある時間。これは演奏開始までの余裕を持たせるための時間と考えて頂いて結構です。
その時間、例えば二時が開場時間だとすると、演奏の開始は二時半を越えるでしょう。少なくとも三十分はみていることでしょう。
ですから、よっぽど急いで席を確保しようと考えない限り、開場時間より前に会場に着くことはあまり意味が無いと言えましょう。
もちろん、席が指定席として定められており、焦って席を取る必要がなければ、開場時間につくよりも、開演時間少し前に落ち着いて席に座ることが出来るくらいの時間で問題は無いでしょう。
開場時間を過ぎ、会場に入り、チケットとを受付に提示し、手荷物などをクロークに預けたら、自分の席を確認して座りましょう。
自由席の場合は先に手洗い等用事を済ませてから座り、演奏が始まるまで極力席を立たないようにしたいものです。また、避けたいのが知人の為の手荷物、チラシ等に因る座席の確保。相手が手洗い等で少々席を空ける、等なら致し方ないと思いますが、まだこられていない方の座席確保は他のお客の迷惑に繋がることがあります。知人とは入場の時間を合わせたいものです。
席に座りしばらく開演前の雰囲気を楽しみつつ、開演を待ちましょう。
受付で受け取ったプログラムには指揮者と曲の概要がのっており、自分の下調べの要項が再確認されます。また、プログラムには他の多くの演奏会のチラシが挟まれておりますので、次回の演奏会選びの参考になるかと思われます。
開演5分前にベルがなり、開演5分前を知らせます。この際のアナウンスでお願いをされますが、携帯電話やアラーム時計など、『音の出るものは電源を切る』ようにしましょう。
どうかこれは必ずお守りください。『音は鳴らないから』とバイブレーションにしておくこともお勧めしません。以外と演奏中はその音が目立つものです。
演奏会開演を告げるベルが鳴ると、会場は暗くなり、舞台の明かりのみ、その強さを増します。
しばらくすると、演奏者の入場。この時は彼等が主役です。入場し始めから皆が入場し終えるまで、拍手で迎えてあげましょう。
演奏者の後に、演奏者代表のバイオリン奏者の長であり、演奏者全員の演奏責任をその肩に担うコンサートマスターが一人入場。入場の後に深々と礼をしますので、拍手で迎えてやりましょう。
コンサートマスターの入場後に、先日このサイトでも述べさせて頂きました儀式(?)、調律が行われます。オーボエの鳴らすラの音に続き管楽器が、弦楽器が全く同じ音を鳴らす…昔、とある発展途上国にて無償である世界的に優秀なオーケストラが演奏会を開いた際、この調律のラの音を合わせる行程だけで満場の拍手が起こってしまったといいます(実際には調律に拍手をする慣習はありません)。はたして貴方のお聞きになっている調律は拍手に値するかどうか…。それは分かりませんが、オーケストラの純粋な一体感を表すともいえる調律は、かなり重要なものだと言えるでしょう。
調律が終わるといよいよ指揮者の入場です。今までで一番の拍手で迎えましょう。
指揮者の礼も終わり拍手がやむと、いよいよ演奏の開始。指揮者の棒が振り降ろされるその瞬間まで、全くの雑音一つ無い『静寂』を作り出すことに努めましょう。
『演奏は演奏前のこの静寂がたまらないのだ』という音楽家も沢山います。文字通り、息を殺してその瞬間を待ちましょう。
さて、いよいよ演奏が始まりました。流れ出るフレーズ、重厚なサウンド。それらの全てに身を任せましょう。
しかし、ここでも最低限注意すべきことがあります。
まず、必要以上の音は出さないように。おしゃべりなど以っての外で、くしゃみやせきも、なるだけ音量を押さえて、演奏の音量がなるだけ多い時を選んで済ませましょう。演奏者にとっては演奏を台なしにするようなものでなければ気になりませんが、聴衆としてはかなり気になるものです。
また、演奏に合わせて体を揺らしたり指揮者のまね事をしたりフレーズを周りに聞こえるように口ずさんだり…という事は演奏者にすら不快感を与える、いわば『迷惑行為』でありますのでやめましょう。『そんなことしないよ』と思われるかたが多いでしょうが、実際いるのです…残念ながら。
また、曲の終わりには拍手をする、という事は日本人にとって当たり前のようですが、全てに拍手をすべきではありません。五、六曲などで一くくりの『組曲』や『協奏曲』、『交響曲』などの一楽章や一曲ごとにおいては、拍手をしないように、と述べさせて頂きます。
そしてメインの終わると、一番大きい拍手。この際にやってはいけないことは、『拍手とブラボーのフライング』でしょう。どんどん音が小さくなっていく、いつ終わったかわからない曲の場合、『迷ったらしない』という考え方が正解だと思います。指揮者が振り返って礼をしたら、拍手を始めましょう。
また、演奏後に、その演奏が素晴らしいものであった場合、『ブラボー!』と声を上げ、歓声を浴びせることがあります。これは世界的に有名な悪習慣の一つで、演奏の感動に水を指す、雰囲気をぶち壊す事として、曲が終わるか終わらないかの瞬間に言い放ち、しかもそれが演奏と重なってしまった場合があげられます。言うなとは言いませんが、曲が完全に終わってから始めるように願いたいものです。
全ての曲が終わると拍手喝采。指揮者は舞台袖に引きますがまだ続けましょう。すると指揮者は嬉しくて何度も舞台上と袖を往復します。これを『カーテンコール』といい、この出たり入ったりは五、六回繰り返されるので覚えておくといいかと思います。
途中に花束贈呈、ソリスト、パートの紹介、アンコールなど諸行程がありますが、拍手は続けられます。これは演奏者に対する聴衆の数少ない感情の伝達ですので思い思いに拍手を続けましょう。
これで演奏会は終わり。クロークに預けた手荷物をきちんと引き取り、帰宅しましょう。
時間が手頃で都合が言いようなら、共に来ていた知人とどこかで夕食をとり、演奏会の話や、それ以外の事でも自由に談義を行うとよろしいかと思われます。
このアフターコンサートは、とても有意義な時間となりましょう。
しばらく続いた『コンサートのススメ』、いかがでしたでしょうか。これによりコンサートに行くことが増え、その中での不安が少しでも軽減されれば嬉しく思います。

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