東日本大震災と福島原発の事故をめぐっては、何人かの科学者が研究者として反省の言葉を真摯に語っている。また、大地震と津波、そして原発事故についてもかなり詳細な事前予測が存在したこともつぎつぎ明らかになっている。
原発の安全神話を振りまいてきたエセ科学者はどこえ消えたのか。さらにはこの神話を最大限利用して原発を推進しながら、今は野党だからと正義漢ぶっている一部政党の面々は、責任を感じないのか。などと怒りは収まらない。
こうしたなかで、「最高科学者の団体」を認ずる日本学術会議が、こともあろうに震災の復興財源として消費税の増税を含む庶民増税の緊急提言を発表した。日経新聞はさっそく「復興財源『高齢層の寄与重要』学術会議が税制など緊急提言」(4月17日3面)と報じた。
原文を入手したいと学術会議のHPにアクセスしたが、5月6日現在、同ページにはまだ掲載されていないが、これを全文紹介したブログを発見、一読して驚いた。
そこには「消費税の値上げは、持続可能の社会保障のためには、必要であることが経済学者だけでなく、広く国民の間でも共有されている」との趣旨が書かれている。そして、「所得税だと現役世代の負担になるが、消費税なら引退した高齢者も負担するから公平だ」といわんばかりの文言が、いかにも「科学的」表現で記されている。
本欄にもたびたび登場いただいている与謝野大臣は、4月27日の記者会見で「@消費税が逆進性を持つかA引き上げが経済に影響を与えるかB複数税率は可能か、などについて日本の英知を集めて検討する」と語ったと報じられている。またぞろ「科学」的装いをこらして、消費税の引き上げを実施しようとの魂胆である。
今ほど自然にしろ、経済にしろ真に「科学」と科学者の責任が問われている時機はないことを強調したい。

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