先日、メルカリで面白そうな本があったので、自分へのご褒美に300円で買いました。
本は人の手を経た様子がなく全くの新品で、しかも中身が実に濃く、読み応え十分です。
全部読むためには1年くらい掛かりそうです。
さて、西洋の文化を急速に取り入れた明治維新によって、日本は戦争のスタイルを大きく変えることになりました。
旅順攻略のような地上戦から戦闘機の空中戦へと変わり、そのために巨大な空母建造の時代を迎えました。
そして、富国強兵のためには人と物を運ぶ輸送力とその速さが必要で、それを実現したのが鉄道でした。
台湾、満州、樺太と日本国内だけでなく、外国にも次々と鉄路が敷かれました。
国内では明治22年に東海道線が全通すると、27年には日清戦争、そして37年には日露戦争と、国が強くなったと勘違いして天狗になった日本は、狂ったようにアジア諸国を敵に回して戦争を始めます。
しかし馬力の弱いSLでは、山国の日本の峠を登ることは困難でした。
旧東海道線の御殿場経由や北陸線の杉津などトンネルを掘る技術がない時代には峠を避けて山を迂回しました。
そして、技術が進歩すると清水トンネル、北陸トンネルなど鉄道のためのトンネルが次々と完成するのですが、崩落や脱線などの苦難もありました。
そして現代でも、リニアで明石山脈を抜ける長大トンネル掘削には苦労しているようです。
また、鉄道で発展した街横浜の歴史を辿ったり、西南戦争や寺社詣でと鉄道、そして大地震と鉄道の被害などのコラムも豊富です。
しかしこの本のテーマはやはり「戦争と鉄道」なので、鉄道が楽しい旅行だけの乗り物ではなく、戦争の時代を共に生きてきたことを知りました。
戦後に生まれて、鉄道の便利さと楽しさしか知らない私には鉄道の長い歴史と人々の苦難、そして多くの戦争によって最も進化を遂げたのが鉄道であることを知る、感動の保存版になりました。
