陸軍の将校たちによるクーデター未遂事件が起きたのは、今からわずか85年前の1936年(昭和11年)2月26日でした。
朝から大雪が降る寒い日のこと、血気にはやる青年将校たちが「昭和維新」をスローガンとして政府の要人を襲撃しました。
将校1483名が永田町一帯を制圧して要人を次々と殺害し、施設を占拠しました。
そして大蔵大臣の高橋是清が殺害されたものの、岡田首相は別の人物と間違えられたために辛くも難を逃れました。
日本国内のクーデター事件として有名です。
天皇を中心とした国家社会主義を目指した彼らは、軍備の力で政府を捻じ曲げようとしたのです。
しかしその時、世界恐慌の影響もあって国民の生活は苦しく、政治家は財閥と癒着していました。
コロナで生活が苦しく、政治家の失言や癒着は、いつの時代も同じなのです。
またその時、陸軍は皇道派と統制派の二つに分かれていました。
皇道派は天皇を中心とした軍事政権が政治も行うべきだとの考えなのに対し、統制派は軍が政府に圧力をかけて内閣を操作しようとしました。
現代では何のことか全く意味不明の行動なのですが、日本が日中戦争や太平洋戦争へと向かう時代だったので、何となくそれも理解できます。
さて先日、日本企業も多数進出しているミャンマーで、軍によるクーデターが起きました。
国を統制して平和を守るべき軍が逆に国を制圧するのは、やはり現代社会からすれば威圧的であり恐怖です。
血気盛んな軍隊に武器を持たせると、それは誰も制止することはできません。
日本の二・二六事件も最終的には昭和天皇の逆鱗に触れ、自ら兵を率いてクーデターを制圧すると発言したので、天皇陛下のために起こしたクーデターがその天皇によって将校たちは反乱軍にされてしまいました。
そして15名の指導者は裁判の結果、わずか数日後には銃殺刑に処せられました。
彼らにすれば、その考え方こそが正義でした。
良いと思って起こした行動は、残念にも間違いだったのです。
ミャンマー軍もそうだと思います。
国のために命も顧みずに立ち上がった自分たちは正しいと強く信じていたに違いありませんが、その正義は間違いでした。
軍が強いことと、国が強いこととは異なります。
結果として軍の幹部が優柔不断な態度を取ったために軍のクーデター事件が起きてしまい、海軍と陸軍が対峙するという、一触即発の事態を招いてしました。
そしてその後の日本は、わずか5年後に悲劇の太平洋戦争へと向かいます。
当時の岡田内閣は軍縮で動いていたので、ニ・ニ六事件が起きていなかったら、日本が真珠湾奇襲をすることもなかったのかもしれません。
日本などの先進国では、クーデターはもう起きることはないでしょう。
しかし、先日の大統領選の時、アメリカが民間人の武力で国を制圧しようとしたことは、少し驚きました。
歴史は繰り返すと言いますが、武力で自国や外国の領土を制圧するような野蛮な行為は、国本来の力ではありません。
もし起きても、必ず鎮圧される時が来ると信じています。