後日よそで詳しく書くかもしれないので、ここでは雑記程度にしか書けないが、サンアディユのスタートにまつわる一件は後味の悪さだけを残した。
スターターの言葉足らずが招いたドタバタであったことは、複数の新聞で既報の通り。ならば、このスターターは、残念ながら職務不適格ということになってしまうだろう。
ゲートをやり直せば・・・という意見もあるかもしれないが、処理についての妥当性は、私には分からない。(ただ硬直していた馬がいたのにスタートさせたたのは、それが人気馬云々であることを別にして、公正性を欠いていたとは思うが)
私にとっての問題はそこではない。
一番の問題はファンに対しての説明が当日、競馬場でゼロ(少なくとも、午後4時半までには)だったということである。これはあまりにもファンをバカにしてはいまいか。ただの出遅れではなく、明らかに発走状況に不審な点が映像で大写しになってしまったのに、これを無視してレースを行ったからには、何らかの説明があって然るべきだ。
結局、スターターのミス(と敢えて言うが)のつけを払わされたのが、ファンだったということは厳然たる事実として残る。
さらにこの事件には悲劇的なとどめが待っていた。サンアディユが日曜午後に急死。もちろん因果関係はあるともないとも、現時点では分からない。ただ、個人的な人間の心臓病に関する知見から推測・・・・というか臆測してみるに、ゲート内の物音に驚いて硬直した馬に全力疾走を強いれば、不整脈が起きる事は容易に想像できるし、ゲート内で硬直直後のレースとなって過剰なストレスを負わされたことで、血液粘度が上がりアテロームが形成されることも、これまた想像がつく(人間が怒りや絶望など強度のストレスの後に心臓発作を起こしやすい原因がこれ)。それが血管に詰まれば(時間を経て徐々に詰まりが形成されるケースもある)・・・・という臆測は、それほど荒唐無稽なものではないだろう。
いずれにせよ、サンアディユの冥福を祈るのみ。そもそも、競馬自体がサラブレッドにストレスを強いているのだから、声高に馬の死をスタートの不始末に帰結させて批判しようとは思わないけれど、ただただ不運な最期だった。

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