ド :石造りの屋内もしくは鉄塔の内部
(ド# :飾られた絵画や置かれた本)
レ :緑色
ミ♭ :地面
ミ :果実の色、特にオレンジ
ファ :ベージュの壁や布
(ファ#:黄金色)
ソ :窓の光など光源
(ソ# :銀色、燻銀)
ラ :空と雲
シ♭ :瑠璃もしくは海
シ :ラヴェンダー
先刻、脳の特殊な機能を紹介しているテレビ番組をちらりと見て、以前雑誌で吉田次郎というギタリストが紹介していた、共感覚(synesthesia)的にハーモニィを捉える技術というのを思い出した。ふうんと感心して、以来暫くギターを練習する時、顔彩(がんさい)のパレットを眺めるようにしていたものだ。
成程、僕の場合ソリッドな色彩ではないものの、根音との幅――もしくは差異、落差――が、特定のヴィジョンや身体感覚と直結する傾向は、確かにあるようだ。それまで曖昧で不定型な音程であったラは、風景の基準ヴィジョンたる主張を始めた。ソ自体にはどうも、これといった色彩感は無い。レは元気がいい――等々。
上はあくまで便宜上の表に過ぎない。例えばレの緑色は若葉の色に限らず、ビアンキの自転車の色や、そんな色に塗られた外壁のテクスチュアも含んでいるような気がするし、シのラヴェンダーは間違いなく香りも含んでいる。しかし取り敢えず簡明に記した。()で括ってあるのは、あんまり出てこないので考えたことがなかった音程。このたび初めて真剣に考え、言語化にはやや苦心した。
コードをそのまま風景化できる変換だったというのを、なんとも自分らしく感じるが、こうして書き並べてみるまで意識していなかった。
○m7なら、窓外に地面が見え、射し込んだ光が、手許のラピスラズリを照らしている、という図になる。もしくは海を回想している。
○augは、屋内の果物と銀の皿、という静物。
○6(add9)なら、窓から射し込む光と、空と、葉の間に実が覗いた蜜柑の木、という組合せになる。
○dimだと、鉄塔、地面、金貨、空、が繰返し現れる。

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