2020/8/23
マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドとヴィルヘルム帝 ロスチャイルド


ヴィルヘルム1世 WilhelmI.(1743年6月3日ー1821年2月27日)
在位:1803ー1821
ヘッセン=カッセル方伯としてはヴィルヘルム9世 Wilhelm IX.
在位:1785-1821
ヴィルヘルム1世は1743年6月3日にカッセルで生まれ、兄のヴィルヘルムが既に夭逝(ようせい=若くして死ぬこと)していたため世嗣となり、1785年10月31日に父のフリードリヒ2世が死去したためヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム9世となり、当時ヨーロッパ最大級といわれた資産を相続しました。また、1803年、ヘッセン=カッセル方伯に選帝侯の資格が与えられ、ヴィルヘルム9世はヘッセン選帝侯ヴィルヘルム1世となった経緯があります。
ちなみに方伯(ほうはく)とは、、神聖ローマ帝国もしくはかつてのその領域にできた諸国家で、「伯爵」の代わりに、神聖ローマ皇帝に封建的な義務を直接負っていた者に使用された称号であります。
ヴィルヘルム9世はロスチャイルド家の祖であるマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドと1775年に知り合い、1801年から彼に財産の運用を任せるようになります。 ロスチャイルドはこれを機会に、現代まで続くロスチャイルド財閥の基礎を築くことになります。
ロスチャイルド財閥の祖、マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドは、11歳の時に父を、12歳の時に母を亡くします。 両親との死別後、ハノーバーのオッペンハイム商会に、見習い修行に出ますが、オッペンハイム商会には王侯貴族の宮廷に出入りする御用商人がいて、彼らは王侯たちに資金調達を行っていました。
マイヤー・アムシェルは、ゲットー内の学校で、ヘブライ語の読み書きと聖書を学び、ユダヤ教のラビとなるべく教育されていたので、彼は歴史や古銭の知識が深く、古銭収集で知られていたエストルフ将軍と取引・親交を深めることによりその商才を磨くこととなります。
フランクフルトに戻ったマイヤー・アムシェルは古銭・メダル商を始め、1年後には、熱心な収集マニアであった欧州最大級の資産家であるヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム9世に古銭を売る機会を得て、これを機に、1769年「ヘッセン・ハーナウ候国宮廷御用商人」に任ぜられ、多くの財を成しました。 フランクフルト領主、ヴィルヘルム9世は、傭兵ビジネスで、欧州で第一の金持ちであり、ロスチャイルド家は徐々にヴィルヘルム9世の財産管理業務に食い込むことにより、財閥の基礎を築いてゆく事になります。
ヴィルヘルム9世は、1785年父の死によって個人のものとしてはヨーロッパ最大の財産(推定4000万ドル)を相続しました。 その財産は主としてアメリカ独立戦争鎮圧用の兵隊をイギリス政府に貸しだして得られたものです。
ナポレオン1世皇帝はドイツ平定の為に軍隊を投入し、1806年6月の戦いの後、領主ヴィルヘルム9世はデンマークに逃れ、60万ポンド(約300万ドル)の管理をロスチャイルドにゆだねました。
マイヤー・ロスチャイルドはヴィルヘルム候から託されたカネをぶどう酒樽に隠し、ナポレオン軍がフランクフルトに侵攻してきたときもその追及を逃れ、1814年に領主が領土に戻ってきた時、同じ樽から手つかずのまま回収されたと表向き公表されていますが、信じている人はいません。
真相は、マイヤーは託されたカネを葡萄酒樽にいれず、全額を息子ネイサンに持たせてロンドンに送り、ただちにそこにロスチャイルド・ロンドン分家を創ったとされています。
「ネイサンは、ウェリントン(ワーテルローでナポレオンを破った英国の将軍・政治家)の半島作戦(対スペイン遠征で金塊が必要になると予測し、そのカネで東インド会社から1億ポンドの金塊を買い、そこから得られた利益は少なくとも4つあるとされています。 @ウェリントンの手形を売ることによって得た利益(彼は手形を50セントで買い、額面通りの額を徴収)、Aウェリントンに金塊を売ることによって得た利益、Bその金塊を買い戻すことによって得た利益、Cその金塊をポルトガルに贈ることによって得た利益。 ここで儲けた金がロスチャイルドの莫大な資産を築く発端であった。」 ユダヤ百科事典494ページ
この大金で、ロスチャイルド家は息子それぞれが当主となり、フランクフルト、ロンドン、ルリン、パリ、ウィーン、ナポリに分家を創ったとされており、各分家とも繁栄しており、
特に、ロンドンとパリ家の繁栄は際立っています。
、1618-1648年のカトリックvsプロテスタントの30年戦争(宗教戦争)の戦いの場所となったドイツ、ボヘミア地方では、長期間の戦闘や傭兵達の略奪により、国土は興廃、人口は激減したドイツは、他のヨーロッパ諸国に対し、発展が約200年遅れたとされています。
しかしながら、ヴィルヘルム9世、マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの時代に、富はドイツに流れ込み、ドイツは急速に発展するようになります。 このように、近隣諸国から遅れて急速に経済発展する国は、ナショナリズムが高揚しやすくなり、後のワグナーやヒトラーなどのドイツナショナリズムも無縁ではありません。
ロスチャイルド財閥発祥の地フランクフルトにEUの中央銀行(ECB:European central Bank)があり、戦争男爵ロスチャイルド財閥発祥の地にNATO最大の軍事基地がある事は、ロスチャイルドと無縁ではないでしょう。
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