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2021/2/7

トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ〜フレーザーバラを離れる〜  財閥(日本・世界)





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明治維新の大功労者 トーマス・グラバー フリーメーソンとしての活躍
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トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ〜初恋の人との別れ〜
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からの続き






フレーザーバラを離れる

それはトーマス・グラバーの初恋であった。

グラバー家は中流以上の家庭(父は海軍大尉でこの時は沿岸警備隊の司令官)であり、このため彼は救済の時自宅から歩いて五、六分で行ける教会に隣接した学校(現在の小学校に相当する)に通っていた。


フレーザーバラは小さな田舎町の漁村のため、子供を通学させるような裕福な家庭は少ない。

トーマスが入学した時の生徒数は、一学年で三十人程度、そのうち女子は一〇人いなかった。

その一〇人弱の女子の中に、実はトーマスが生涯忘れられない初恋の人がいたのである。


同年のその娘の名前は「エリザベート」といい、この町の数少ない開業医の長女であった。
トーマスは入学彼の際、彼女を見た瞬間 「何と魅力的な、美しく可愛い女の子だろう」

とすっかりエリザベートの虜になってしまったのだ。

先にトーマスの三人の兄達が学校で寄宿生活を送っている事を述べた。 それは父母の目から見ても三人ともに、中々に優秀な頭の持ち主だったからである。


英国海軍の大尉というクラスは決してエリートとは言えない。 三人の息子を寄宿制として送り込み、その上トーマスを教会学校に通わせるのは、経済的に決して楽ではなかった。


四人の兄弟の中で父ベリーが最も将来を期待していたのは実は五男(四男は没)のトーマスで、記憶力、創造力に関しては三人の兄達もはるかに及ばない「逸材」とみてとっていた。


事実、父の眼力が間違っていなかった事は後に証明される。 それだけ最大の評価をしているトーマスが大声を張り上げて「この家を出て行きたくない」と、父母に反抗する彼の真意を計りかねていた。

トーマスの教会学校は午前九時に始まり午後に時には終わる。 大変人懐っこく冗談を言っては人を笑わせるトーマスだが、この日ばかりはすっかり笑顔を消し、何やら物思いに耽った暗い表情に終始していた。

友達もすぐに彼の暗い表情に気付き、身体の具合でも悪いのかと声をかけた。 身体の具合が悪いのではない。 ただ心の具合が悪いだけなのだが、「よっと風邪をひいたみたいだ。 心配するほどのこおはないよ」と口ごもりつつ、視線はそれとなく恋しいエリザベートの姿を求めていた。


その日も天気は気持ちよく晴れ渡っており、いつものように二〇人余りが、歌、踊りを楽しもうと、グランドへ繰り出した。

しかし、トーマスは「どうも風邪気味で調子が出ないよ」とすでにグランドに出て行ったエリザベートへさりげなく素早い視線を送りながら学校を後にした。


頭の回転では兄たちにもひけをとらないトーマスは、母メアリーに対して「この家から移りたくない」と強く反抗したものの、父から改めて説得を受けるまでもなく、十日後にはこの家とも、そしてエリザベートとも別れなければならない事をハッキリと自覚していた。


しかし、理屈では良く分かっていても、感情の上ではどうにも納得ができない、と言うのがトーマスの心情だった。

「あのエリザベートとももうすぐ会えなくなるなんて。 そんなことがあってよいものか」、
トーマスは家へ帰らず、このままどこかどこかへ消え去ってしまいたいような沈鬱な心を抱いて我が家のドアを開けた。

トーマスは「ただいま」と母親に声をかけたものの、そのまますぐに二階の寝室へ駆けあがり、ベットに仰向けに寝転んだ。


両目をつぶると瞼に先程会ったばかりのエリザベートの美しく可愛い笑顔が浮かんでくる。 エリザベートの居るこの町でずっと暮らしていたかった。

それなのにもうすぐお別れなのだ。 ただの一度も彼女との別れがあるなんて考えた事もなかった。

しかし、人生には悲しい別れというものがあるのだ。 悟りの早いトーマスが悲しい覚悟を決めたのはこのベットの上であった。






ギムナジウムへ入学

父は夕方六時頃、約束通り帰宅しすぐにトーマスの部屋に入ってきた。






次の投稿に続く









財閥(日本・世界)シリーズ のここまでのまとめ
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