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2021/10/24

デジタルマネー戦争の黎明期  財閥(日本・世界)






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1980年代に語られた「デジタル通貨」の青写真

1988年に発行された、イギリスの雑誌「エコノミスト」1月9日号の表紙に描かれていたのは、金色のコインの後ろで鷲が羽を広げるイラストで、羽を広げる鷲の足下では紙幣が燃えています。

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特集は「国際通貨システムの船出に備えよ」。

テクノロジーの進化によって現金に代わる新たな仕組みがやってくることを予感させるこの表紙は、当時ちょっとした話題になりました。 現金のない世界は、当時まだ誰もが想像できるものではなく、新鮮だったのです。 しかしその後、スマホやICカードの普及と共に現金以外の決裁が増え始め、キャッシュレスの利便性は私たちの日常の隅々を変えつつあります。

真一二のちょっとした支払いだけではありません。 通貨は国と国の関係、国際社会のパワーバランスもダイナミックに塗り替えます。 そして、私たちの人生や夢、自尊感情を強大な力で支配します。 人間と貨幣の関係そのものまでもです。

それから15年後の2003年にオンライン仮想世界「セカンドライフ」の中で、換金可能な仮想通貨が登場。 2009年にはブロックチェーンを使ってデジタルデータだけでりとりされる分散管理の仮想通貨「ビットコイン」が現れ、人々に次のような期待を抱かせました。

「中央銀行の支配から人々を自由にする、全く新しい通貨システムの誕生だ」 かつてフリードマンやハイエクのような経済学者たちが説いた、国家権力と通貨発行権を切り離すべきという思想。 国家の強制力が及ばないデジタル通貨の登場は、文字通り革命的でありました。

中央集権的な通貨発行者が存在せず、発行枚数に上限があり、その価値は需要と供給によって決まられます。 銀行を間に入れなくても取引でき、特定の企業・サービスでしか使えない電子マネーと違い、通常の通貨と交換できるなど、法定通貨同様の役割を持つのが特徴です。

ビットコインだけでなく、今では7000種近い仮想通貨が存在する中、代表的なものは5種類あります。 しかし、発行主体を持たない分、ビッチコインのような仮想通貨は、通貨供給量をコントロールできず、バックに何も持たないので信用も弱いことが挙げられます。 4人に1人は違法ユーザーで、違法取引件数は全体の44%を占めています。 匿名性の高さが、法の目を潜り抜けるのを容易にするからです。 そんな中、既に多くのユーザーを持ち、世界的に信用が確立されている巨大企業の一つがこの分野に参入してきました。




仮想通貨「リブラ」

「世界中で銀行口座を持っていない10億人を助けたい」 フェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグがそう言って、仮想通貨「リブラ」構想を発表したのは、2019年6月のことでした。

リブラはビットコインと違い、大きな価格変動がなく、複数の法定通貨に裏づけられることで信用が担保されています。 「商品やサービスを購入」したり、「法定通貨と交換」できるなど、中央銀行が発行する通貨と同じ機能を持つのが特徴です。 VISAなど多くの有名企業が参加するリブラ協会は、リブラ発行で手にいれた法定通貨の運用利益で運用コストを賄い、株主に還元できます。 いつでもどこでもスマホ一つあれば瞬時に決済でき、国際送金などは既存の銀行から行うよりずっと速くて低コストです。

金融政策に障らないだけで、あとは銀行通貨と同様の機能を持つリブラは、世に出ればフェイスブックが抱える27億人のユーザーと、協力企業の顧客リストを通して爆発的に拡がる可能性を持っていました。 しかし、これに対し、アメリカ下院金融サービス委員会は即座に反対声明を出しました。 「こんなものが出たら、既存の金融システムが不安定になるではないか」

多くの中央銀行がそうであるように、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)にも、ドルを刷るたびに、原価を差し引いた残額を国債として政府に貸し付けて利子を得る「通貨発行益」というドル箱があります。

その上ドルは大半の国で貿易決済に使われるので、っ他国に対する強力な政治力となる基軸通貨です。 ドルを経由した国際取引には、常にFRBやアメリカ当局の監視の目が光り、アメリカの意に沿わない国に対しては、経済制裁の名の下に容赦なくドル決済を停止できます。 世界トップの軍事力と基軸通貨ドルを持つアメリカとの交渉で、多くの国は圧倒的に不利な立場です。 FRBとアメリカ政府にとって、既存のシステムからわざわざデジタル通貨に参入するインセンティブはありません。

1971年にニクソン大統領がドルを金(Gold)で裏付ける制度を廃止したことで、為替レートが固定から変動相場制になり、アメリカは持っている金の量を気にせずにドルを好きなだけ刷れる特権を手に入れました。

日本をはじめアメリカに輸出する世界の国々は、ドルの金利を稼ぐために、決済して得た貿易黒字分のドルを、米国債に再投資せざるを得なくなります。 ドルのグローバル化は、アメリカに都合の良いグローバル金融システムと同義語でした。 そしてその後アメリカでは、銀行業に関する規制が次々に緩められ、金利は青天井になり、米国債の売買契約を独占するウォール街は笑いが止まらなくなりました。

世界最大の軍事力とともに、刷り放題のドルを貸し出して利子を得ながら、リスクは借り手が負担するという金融利権が、FRBとウォール街の力を巨大化してゆきます。 ニクソンがドルを金で裏づける義務を外した直後に、今度は実体のないところから金が金を生む金融工学を利用した「デリバティブ(金融派生商品)」が市場にデビュー。 アメリカの投資銀行はこの錬金術によって、さらに巨額の利益を手にするようになります。 中央銀行でありながら民間企業が全ての株を所有するFRBは、大統領より強い件禄を持つ金融業界と一心同体です。

2008年のリーマンショック時点で、アメリカの最大手4行は、世界のほとんどの国のGDPを超える資産を手にしていました。 天文学的な数字の富が生み出す莫大な政治的影響力のおかげで、金融危機の原因を作った張本人にも関わらず、彼らは誰一人罰せられておりません。 その後に出された業界を規制する法案も、息のかかった連邦議員達によって全て骨抜きにされています。

リブラという新しいデジタル通貨に対し、金融サービス委員会が言い放った、守るべき「既存の金融システム」とは、アメリカを動かすごく一部の人間のための「金融社会主義」を意味していました。

他国の中央銀行もまた、FRBと同意見でした。 フェイスブックが持つ27億人のユーザーの多くが、安い・速い・手軽の三拍子揃ったリブラを使うようになれば、銀行は顧客を奪われ、収益が確実に減るでしょう。 中央銀行が独自のデジタル通貨を出したとしても、リブラが広く普及した後で再び顧客を奪い返すのは至難の業です。

つまり銀行家たちからすると、これはとんでもない話でありました。 「テロリストを手助けするどうぐになるのでは」「脱税をどうやって防ぐのか」 各国政府が次々にザッカーバーグの新通貨構想への批判を口にして、リブラが集中砲火を浴びる間に、アメリカ議会はリブラを上場させないための規制法案を次々に打ち出し妨害しています。 その結果、VISAなどの協力企業もリブラ構想から離脱、結局フェイスブックは当初の構想を諦めるより他ありませんでした。

名前もリブラから「ディエム」下と変更、規模を縮小したステーブルコイン(仮想通貨と違い法定通貨と連動する事で価値が安定する)へと、方向転換を余儀なくされたのでした。


リブラのケースは、多くの事を気付かせてくれます。 どれだけテクノロジーが進化しても、通貨をめぐる人間の欲望は、そう簡単には変わりません。 「世界は」問題だらけ。 資本主義はもう限界なのです。 この際だから、全てデジタルでリセットしてしまいましょう」 世界経済フォーラムのサイトにいくと、色鮮やかなコンセプト動画が流れてきますが、そこにあるのはどれも抽象的なイメージだらけです。 夢のような近未来の新技術が現れると、私たちはその眩しさについ目を奪われます。 っ遠くの光に手を伸ばし、足元を見る事を忘れてしまいます。 しかし、デジタル技術が想像を超えるスピードで社会を変えつつある今、手にする道具や社会の枠組みを変える前に、人間の速度で立ち止まり、今いる場所を確かめなければなりません。





デジタル通貨を推進する世界最大の広告・コンサル会社アクセンチュア

リブラの登場は各国の中央銀行に危機感をもたらし、それまでデジタル通貨に消極的だった米FRBの態度まで、180度変えさせました。 テクノロジーの進化を捉えて時代の波に素早く乗るのは、いつだって缶より民です。 たとえリブラを潰しても、今後第二第三のリブラが次々に現れ、中央銀行を驚かすでしょう。 2020年2月の下院金融サービス委員会で、FRBのジェローム・パウエル議長は「CBDC(中央銀行のデジタル通貨)」について区証言しました。 「中央銀行はようやくデジタル通貨に目覚めた。リブラが火をつけたのだ」しかし、実際米国でデジタル通貨を実行するのは、財務省当局や議会の承認が必要になります。

デジタル化の進化と共に消滅すると言われている業界はいくつもありますが、自分たちの存在が脅かされる事態が急に現実味を帯びてきたことにゾッとした雨r化銀行協会(AMB)は、慌ててこれを阻止すべく国会議員たちにロビイング活動を開始しています。 VISAやマスターなどのクレジットカード会社は、抵抗するより世界のトレンドに乗る方を選び、バハマのデジタル通貨「サンドドル」と提携したプリペイドカード発行に向けてギアを入れ直しました。 一部の業界が抵抗しても、時代の波は世界規模でますます勢いを模してゆきます。 中央銀行の発行するデジタル通貨を新しいチャンスにしてたまらない企業群は、数年先になるだろうと言われる当局や議会の承認を待ちきれず、パウエル議長の証言から数ケ月後に行動を起こしています。

世界最大の経営コンサルティング企業アクセンチュア社など、民間企業が立ち上げた「デジタル・ドル・プロジェクト」がFRBのデジタル・ドル発行を民間主導で実施する提案書「ホワイトペーパー」を公表しています。 FRBがいつまでも重い腰を上げないので痺れをきらした民間企業群が揺さぶりをかけているのです。

旗振り役のアクセンチュア社は、国連や大手製薬会社、マイクロソフトなどと共同で、RFIDマイクロチップをすべての人に埋め込む国際デジタル認証プロジェクトを中枢で推進する企業の一つです。 世界経済フォーラムは、全ての個人情報をデジタルIDと紐づけて、高速の5G根とワークでつなぐデジタル社会を奨励しています。 IDには名前、住所、職業、医療、年金、金融情報が組み込まれ、何もかも1ケ所で管理できる、再興に便利な社会になるのです。 いうまでもありませんが半分皮肉で言ってますよ。

ID2020の対象は、世界人口の約6分の1という巨大市場です。 これを今、中国・ロシア側がとるか、西側諸国の側が取るかという壮絶なせめぎ合いになっています。 一連の流れを見るとアクセンチュアが、デジタル通貨発行を目指す欧州中央銀行やスウェーデン中央銀行、カナダ銀行、シンガポール通貨監督庁と次々に技術提携をしているのを見ると、世界中の個人情報を握るビッグテックと金融業界の融合がいよいよ現実になるのが想像できます。

中央銀行の虎の尾を踏んだリブラは潰されましたが、水に投げた小石が幾重にも波紋を作るように、確実に各国に同じ動きを拡げ、今までアメリカ一強のドル体制の上になり立っていた世界のパワーバランスを大きく変える新しい扉が静かに開き始めています。




デジタル新世界「グレートリセット」シリーズ

デジタル新世界「グレート・リセット」と ID2020
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2979.html
デジタル新世界「グレート・リセット」と ロックフェラー財団のコロナ・パンデミック予言
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2980.html
デジタル新世界「グレート・リセット」 ショック・ドクトリンhttps://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2981.html
デジタル新世界「グレート・リセット」 牧島かれん・デジタル大臣に就任
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2983.html
安倍政権下での日中スーパーシティ協力覚書締結
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2984.html
公共が消えた自治体
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2985.html
4600億円利権「GIGAスクール構想」
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2986.html
オンライン教育というドル箱
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2987.html
デジタルマネー戦争の黎明期
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2988.html





デジタル新世界「グレート・リセット」ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2982.html











日本の財閥

日本三大財閥(住友・三井・三菱)の始まり
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2721.html
政商から脱皮する財閥(住友・三井・三菱) 
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2722.html
ゴールドマン・サックスと住友財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2932.html
住友財閥の歴史
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2956.html
財閥解体
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2957.html
財閥解体と再結集、そしてグループ化
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2958.html
山口財閥・三和グループ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2959.html
住友銀行の暴走と磯田会長の辞任
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2960.html
三井と住友の合弁、そして住友金属工業の「白水会」脱退
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2961.html
住友家・住友グループの特徴
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2962.html
浅野財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2963.html
安田財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2964.html
鴻池財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2965.html
鮎川・久原財閥と日産・日立グループ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2966.html
三井財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2967.html
三菱財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2968.html
野村財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2969.html
旧鈴木財閥
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2970.html
古河財閥・古河グループ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2971.html
川崎財閥(薩州財閥) 
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2972.html
渋沢財閥・一勧グループ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2973.html




デジタル新世界グレートリセット

ゴールドマン・サックス ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2904.html

モルガン財閥 ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2894.html

デュポン財閥 ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2919.html

ロスチャイルド財閥 ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2917.html

日本の財閥(住友・三井・三菱・安田・等) ここまでのまとめ
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2918.html

財閥(日本・世界)シリーズ ここまでのまとめ-1
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2815.html
財閥(日本・世界)シリーズ ここまでのまとめ-2
https://wave.ap.teacup.com/renaissancejapan/2950.html


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