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2005/7/23

食糧問題-5 バイオテクノロジー企業  食料問題

バイオテクノロジー(遺伝子工学)企業は、ベンチャー企業から、大手の化学会社に至るまで、世界には数多くの会社が存在します。 しかしながら、商品化や技術で先頭を走っているのは、大手化学会社の一事業部門である事が多いでしょう。

何故、多くの企業が、このバイオテクノロジー産業に参入してくるのでしょうか、今さら言うまでもなく、今後10年以内に大きなビジネスチャンスがやってくると予測しているからです。 

既に、糖尿病の治療に必要なインスリンは、遺伝子組み換え技術によって、ヒトインスリンの遺伝子を大腸菌に組み込む事により大量生産できるようになり、最近ではヒトインスリンのアミノ酸配列をさらに変換し、より高品質なインスリンの大量供給ができるようになり、多くの糖尿病患者を救う事ができるようになりました。 その他では、インターフェロンやB型肝炎ワクチンなども、遺伝子組み換え技術を利用して生産されています。 

さらに、穀物メジャーの最大手のカーギル社は、トウモロコシを加工処理する過程で発生する、ブドウ糖からできる乳酸を原料としたラクチドという化学物質を経てできる生分解性プラスチック「エコPLA」を発明しましたが、これはサトウキビやでんぷん等の農産物を発酵させて、土に埋めたり、放置しておけば分解する新しいプラスチックです。

現在は、カーギル社とダウケミカル社が共同出資会社を設立し、本格的な商業化に向けて取り組んでいます。「エコPLA」はブドウ糖が原料なので、遺伝子組み換え技術により、ブドウ糖を多く含む農産物が開発できれば、農産物がプラスチックとして、石油に取って代わる可能性が示唆されており、この「エコPLA」は基本的に30日で分解されて自然に戻るので、世界中のエレクトロニクスメーカーが筐体プラスチックとして注目しております。 また、サトウキビから作られる生分解性プラスチックでは、カーギル社と日系企業の共同開発で、家庭製品ではシャンプー・リンスの容器、生ゴミ袋、食品包装用フィルムとしての用途にも、既に一部使われております。 

このように、遺伝子組み換え技術を使った製品は、世界人口の増大に伴う食料問題、栄養問題を解決するだけではなく、新しい薬品や、環境に優しい巨大なプラスチック市場も期待できる、将来は大きな産業に発展してゆくに違いありません。




第2次世界大戦後、アメリカの食料増産を後押ししたのは、ハイブリッド・コーンで、これは雑種強勢を利用して収量拡大を目指した物です。 最初に商品化したのは、パイオニア・ハイブリッド社で、アメリカが世界の膨大な人々に食料を供給する事ができたのも、もともとはハイブリッド・コーンが普及したからでありました。 

世界の種子販売の上位3社は、パイオニア・ハイブリッド、モンサント、ノバルティスですが、パイオニア・ハイブリッド社は1999年にデュポン社に買収されており、モンサント社は1996年から様々なバイオテクノロジー企業を買収しています。 モンサント社が買収した企業は、W・R・グレースの農産物バイオ事業、ホールデンズ・ファウンデーション・シーズ買収(10億ドル)、種子会社アズクロー・アグノミクス買収(2億4000万ドル)、カルジーン買収(約2億ドル)、デカルブ・ジェネティクス買収(23億ドル)、種子会社デルタ・アンド・パイン・ランド買収(約19億ドル)、カーギルの国際種子事業買収(14億ドル)、ユニリーバーの種子事業子会社PBIC買収(5億2500万ドル)、etc.  スイスのノバルティス社は、チバガイギー社とサンド社が合併してできた医薬・農薬会社で、傘下の米国法人ノバルティス・シード社が、その経営資源を種子開発に集中しております。

また、ヨーロッパの大手では、フランスのアベンティス・クロップ・サイエンス社(ドイツのヘキスト社の子会社アグレボ社とフランスのローヌ・プーラン社)とドイツのバイエルン社農業事業部門が2002年に合併してできたバイエル・クロップ・サイエンス社があります。 この会社の売り上げ高は、約8500億円で、世界第2位の農業企業です。 また、スイスにあるシンジェスタ社(2000年にスイスのノバルティス・アグリビジネスとイギリスのゼネカが合併)、イギリスのアストラ・ゼネカ社(イギリスのゼネカとスウエーデンのアストラが合併)等があります。

この将来性のあるバイオテクリロジー産業の波に乗り遅れまいとする欧米企業のM&Aや再編に対して、日本の状況はどうなのでしょうか。

欧米に対して、唯一進んでいる研究分野であるイネゲノムに関して、冷害や害虫に強い
稲を遺伝子組み換え技術により創ろうという動きがありましたが、モンサント社と愛知県が共同で取り組んできた遺伝子組み換え稲の研究が、2002年に署名活動により断念せざるを得なくなりました。 また、北海道では、国が安全と認めていても、遺伝子組み換え作物の栽培を規制する条例を可決するなど、我々日本人によって逆風にさらされているのが現状です。

日本の食料自給率の低さを非難しておきながら、その唯一の解決策であろうバイオテクノロジーの研究開発を、我々日本人が邪魔をするという行動には、世界の人々も驚いているに違いありません。

私の意見は、遺伝子組み換え食品は、十分な安全性が確かめられた後に、市販されるべき物であると思いますが、欧米企業との特許競争の問題もあることですから、研究開発は積極的に行えるような環境をつくっていくことが重要だと思います。


北海道、遺伝子組み換え作物栽培規制条例を可決
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/flash_rss/366580
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