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2008/11/4

太陽電池  科学技術

太陽電池の歴史は古く、基本原理を最初に発見したのがAlexandre Edmont Bequerel(仏)で1839年の事でした。 1884年にはセレンを使い太陽電池の発電に成功したのがCharles Fritt(米)、1954年に単結晶シリコン太陽電池の開発に成功したのが、米国ベル研究所のM.B.Princeで、ここから今日の太陽電池産業が生まれたと言っても過言ではありません。

日本ではシャープが1959年に太陽電池開発に着手し、1973年のオイルショックを機に、1974年には国家プロジェクトのサンシャイン計画がスタートし、1980年にNEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization : 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が設立されました。  今日では、産業総合技術研究所(旧工業技術研究院)が日本の太陽電池技術開発のリーダーシップをとっております。


太陽電池と比べられるものに、風力発電があり、ヨーロッパでは風力発電が多く採用されており、現時点での発電コストも安いことから、何故日本ももっと風力発電をやらないのか、時代に後れている!などと騒いでいる人を見かけますが、実はこういう事を言う人は全くのど素人なのです。  日本政府や企業も馬鹿ではありませんから、風力発電を試してみたのですが、風の強弱の変化が激しく、また突風の吹く日本では、全く採算が合わないという結果は既に実証済みで、特に強い風が吹いたときに風力発電機が倒れるといったトラブルが続出して、大問題を起こしているのです。 といっても全くゼロにすると言う意味ではなく、主役はあくまでも太陽光発電であると言うことです。

また、少し前は大騒ぎしていた燃料電池も新しいエネルギー源として期待されていますが、風力や太陽光発電と異なり、燃料電池の場合は常にガスなど供給し続けなければならないのでコスト高で、効率が高いと言っても、その半分はお湯がでてくる、いやお湯が出来るついでに電気もとれると言ったほうが良いかもしれません。 家庭用の燃料電池では、発電量が約1KW、10Aです。 もっと分かり易く言えば、テレビをつけたままドライヤーを使うと電気量オーバーで、一人暮らしの電気すらまかなえないのが現実です。  一方の太陽電池は、4KW、40Aなので、一般家庭でも十分な電気をまかなうことが出来ます。 それでは夜はどうなるのだと言えば、バッテリーを併用する事により、昼間に余った電気を蓄えておくことが出来ます。 何より、太陽電池は一度据えつけてしまえば、エネルギー源は太陽なので、何も供給する必要がないのに対し、燃料電池の場合は危険な水素、ガス、メタノール等を常に供給する必要があります。 また不必要なお湯も問題です。

さらにCO2問題一つとってみても、石油火力発電では742.1g-CO2/kWhに対し、太陽光発電では53.4g-CO2/kWhと、CO2削減にも大きく貢献します。

電気代を比較してみると、2010年では原子力発電が7円/kWh、石油火力発電が20円/kWh、に対し、太陽光発電は23円/kWhと、石油火力発電とほぼ同等となり、2030年には原子力発電が7円/kWh、石油火力発電が27円/kWh、太陽光発電が7円/kWhと、日米欧とも試算しており、これは決していい加減な数字ではなく、シャープなどの大手が計算した結果で、NEDOの公式資料としても公表されています。

すなわち、資源のない日本は、政治的な事を考えても、さらに太陽光発電とリチウムイオンバッテリーなどの蓄電池にも研究開発投資をもっと積極的に行わなければならない事が分かります。

日本政府も馬鹿ではなく、2030年の新エネルギーは50%以上を太陽光発電で行う計画を方針として経済産業省が公表しています。 ちなみに2030年の新エネルギーは原油換算で3946万KLで、太陽光51.3%、風力6.8%、産棄物9.5%、バイオマス3.0%、太陽熱2.8%、バイオマス熱・未利用エネルギー10.7%、産棄物熱2.2%、黒液・廃材13.6%としています。


太陽電池の技術トレンドは、第一世代が単結晶シリコン、多結晶シリコンを使ったもので、分かりやすく言えば、半導体に使うようなシリコン単結晶ウェハーを基板に使いPN接合を使ったヘテロジャンクションのものです。 多結晶シリコンとは、単結晶シリコンの廃材を集めて溶かし、型に流し込みつくられたウェハーで、単結晶に比べて安価であるものの性能が少し劣る欠点があります。

第二世代とは、薄膜方式と呼ばれるもので、ガラス、ステンレス、プラスチックフィルム基板上にシリコンやCIGSなどをスパッタ、蒸着したもので、シリコンの使用量を大幅に削減することが出来、欧米の設備メーカーから設備を購入すると、誰でも太陽電池がつくれるというもので、ちょうど今年あたりから本格的な生産が進んできています。 こうなると、強くなってくるのが、中国・韓国・台湾・インドのような国家くるみで戦いを挑んでくるところです。  この第二世代の技術で、大量生産をすれば、原子力発電並みの5〜7円/kWhが達成できると、日米欧ともに試算しています。

最近、色素増感や有機太陽電池と呼ばれる有機材料を用いた太陽電池の研究発表が盛んで、あたかも太陽電池ブームにのって、大騒ぎしている阿呆共がおりますが、騙されてはいけません。 これは、信頼性があまりに悪く、絶対に屋根の上に乗せるような太陽電池になることは絶対にありません。 太陽電池の寿命は、その効率が約10%落ちる時間を言いますが、従来のシリコン太陽電池で約20〜50年の寿命が保証されています。 シリコンの発電部だけであると50年以上の寿命があるのですが、ガラス封止するさいに使うEVAと呼ばれる樹脂がその寿命の足を引っ張っており、通常は20年保証となっています。  それに対し、有機系の太陽電池は、40日もないのです。  じゃあ、何故世間が騒いでるかって? それは技術が分からない阿呆のメディア関係者が、騒いでいるだけなのです。  太陽電池のセミナーにでも行き、研究者にも寿命を聞いてみてください、上述した寿命と同じことを喋ってくれるでしょう。 研究者と言うのは、論文を書くために研究してるケースがあるのです、有機系は今まで研究されてこなかったので、研究の対象として論文や特許が書けるから、やっているだけで、研究者自身も産業として使い物にならないことが分かって研究している事があるという事を知っておく必要があるでしょう。

さて、それでは第二世代の技術で、欧米の装置を購入した中国・韓国・台湾・インドに、日本は負けていくのでしょうか? この技術はターンキービジネスと呼ばれ、自動車のようにキーを回しただけで、車を動かす事ができるという意味で使われる言葉で、言い換えれば誰でもできるというものです。 確かに、後進国が政府の補助を得ながら、シェアを伸ばしてくると思いますが、あまりに巨大な太陽電池市場では、供給が需要が追いついてゆかず、日米欧、後進国Grともに、それなりのビジネスをエンジョイするようになると思います。

しかしながら、本当の勝負は既に始まっており、第三世代の技術である量子ドット太陽電池であります。 これは、従来のシリコンの理論効率限界が25%(第一世代、第二世代とも)に対し、理論効率が65%ほど期待できる技術です。 ちなみに、有機系の太陽電池の効率は5〜10%程度です。  量子ドット太陽電池技術は圧倒的に欧米が進んでおり、オーストラリアやスペインなど、従来工業国と思われていなかったような国でも日本より、はるかに進んでいます。 いうまでもありませんが、最も進んでいるのはアメリカで、ロスアラモス研究所、NASAグレン研究センター、NREL(米国国立再生エネルギー研究所)はじめ、様々な民間企業でも開発が進められています。 日本でも従来から細々とは行われていましたが、今年からNEDOプロジェクトで、量子ドット太陽電池の研究は、東京大学、シャープ、新日本石油を中心として行うことが発表されましたが、実はここよりも既に進んだ研究を行っている研究機関、企業はいくつかあります。  一方、中国・韓国・台湾・インドはこれから研究を始めるところで、欧米に遅れをとっている日本より、さらに遅れており、このナノテクノロジーを駆使した技術で、20年先は日米欧が再び産業のリーダーシップを取ることが予想されています。 実は、日本のメディアはディスプレイでも有機ELが最先端かのような報道をしていますが、日米欧共に最先端のディスプレイ開発競争は既に、この量子ドット技術で始まっているのです。 有機ELデバイスは20年以上も前にアメリカのコダック社が開発したもので、決して新しいものではありません。

太陽電池では、日米欧に圧倒的な差をつけられている韓国では、ヒュンダイ(現代)が今年の7月に、オーストラリアのサウスウェールズ大学で量子ドット太陽電池の研究を行っている研究者をヘッドハンティングし、いきなりヒュンダイの副社長に据えて、日米欧へのキャッチアップを急いでいるようですが、現在の韓国大統領である李明博(イ・ミョンバク)もヒュンダイ出身である事を考えると、もしかすると韓国の国家戦略では、太陽電池はサムソンではなく、ヒュンダイに主役をつとめさそうとしているのかも知れません。 しばらくウォッチしておく必要があるでしょう。

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