昨日は、バス1台で神戸港に輸入農産物の見学に出かけました。
この見学ツアーを主催したのは、市民のつどいの学校給食と食の安全分科会と岡山市の学校給食をみんなで良くする会。
関わりがあるし、輸入農産物の問題についても当然関心があるし、一度は見学してみたいと思っていたので、参加することにしたものです。
まず、ある民間会社が持っている倉庫を見学しました。
これは、船が接岸するバースに隣接して立っている倉庫で、陸揚げされた農産物は、まずこの倉庫の1階に保管されます。
そこで、農水省の検査官が、害虫が着いていないか検査するのだということです。
それでもし発見されれば、薬で燻蒸するわけです。青酸(シアン化カリウム)ガスか二硫化メチルのガスを使うことになっているとか。
筆者は高校時代に科学部で、青酸カリが還元剤としての役目を果たす実験をしたことがありますが、何よりわずかな量で致死量になる猛毒性が有名。
あの731部隊でもマルタと読んだ中国人たちを処分するときに青酸ガスを使っていたことを読んだことを思い出しました。この燻蒸でガスが農産物に残留しないのかちょっと心配になります。
燻蒸倉庫の壁には扇風機が付けられていました。隅々までガスを回すためなのでしょうか。換気にも必要なのかもしれません。ちょっと怖い感じがしました。
燻蒸が終わると2時間換気してガスを抜き、ガスの残留を検査してOKとなって初めて流通可能となると聞いて、少しほっとしましたが、農産物にしみ込まないのか心配は残ります。
こういうのは素人ならではの不安なのでしょうか。燻蒸の必要性は理解しても、それはあくまで害虫を日本に入れないためであって、農産物のたべものとしての安全性を高めるためのものではないわけですから、やはり気になります。
そして、すぐに市場に出て行かない物は上の階の低温倉庫に保管することになっているということでした。
実際に保管倉庫に入って、中国からの玉ねぎとかゴボウ、人参等を見ましたが、室温が3度くらいに保たれているから、まあ寒いこと。
最初は冷たくて気持ちいいけど、すぐに冷気がおそってきます。
以前のような輸入農産物の野積みもなくなり、適切な処理になっている様子がうかがえましたが、燻蒸するのは結果的に4割程度という話は、素直には喜べません。
というのも、虫も付かない野菜というのは、逆に安全と言えるのかという疑問があるからです。農薬とかいっぱいついているんじゃないかと心配になるわけです。
昨今、中国産の製品や野菜から有害物質が検出され、社会的な関心を呼んでいます。まさにそこのところが知りたいのですが、輸入する時点では、そこまでは判らないそうです。
サンプリング調査をするものの、その間も野菜は流通していきます。止められないのです。
もし有害物質が発見されれば、次回からは水際でチェックが可能になるとのことでしたが、初回は私たちの口に入る方が先かもしれないのです。
倉庫見学の後には県立生活科学研究所の会議室をお借りして、地元食健連の事務局次長さんからお話をお聞きしました。
小麦などは輸出国の規制で、船積みするベルトコンベア上にポストハーベストの薬を噴霧するところが作られていて、すべての小麦には薬がかかっているという話がショッキングでした。
判っていることですが、だから輸入小麦を使ったうどんやパンは必ず程度の差はあれ、残留農薬が検出されるのだといいます。
すると、健康に良いとされる全粒小麦を使ったパンの方が危険性は高いことになります。埼玉県が学校給食にはそうした小麦を使わない方針から、生産者を組織して小麦を作らせ、それを使ったパンを学校給食に使っているというのは、その意味ではすばらしい取組みだと痛感しました。
ともあれ、食の安全に関心が高まっている今、私たちとしても単に知識としてだけでなく、自らの食を守ることと次世代を担う子ども達の食を守るための行動につながるような学びの場を作る必要があると痛感します。

2