結果的には、一時10点差をつけられたベイスターズが逆転に成功。しかし最後は、追いつかれて 12−12 の同点で終わったという、壮絶な試合となりました。
(投手編)
27 上茶谷 大河(23歳) ◎
テンポ・コントロール・ボールの走り・変化球、全てに関してハイレベルでした。かなり疲労もピークとも語っていたものの、実戦に入るとそういったものは微塵も感じさせない内容が続いています。今のところ2イニング登板なので、投球回数を増やした時にどんな変化を見せるかではないのでしょうか。年間通しての活躍が課題ではある投手だとは思いますが、能力的には二桁を意識できる新人だと現時点では言えると思います。故障や疲労からのパフォーマンス低下が、一番心配なタイプかと。
28 勝又 温史(19歳) ✕
ファームでの登板が雨で流れ、実戦初登板が一軍でのマウンドとなりました。投げっぷりの良さが自慢の投手ですが、さすがに緊張したのか? 全くストライクが入らず、カウントをとりに行った球もことごとく打たれという悪循環。ワンアウトも取れず、全く良さも見せられない初登板となりました。残念なのは結果よりも内容で、高卒ルーキーとはいえ、上茶谷以上の球威のあるボールが投げられるはずの投手が、ボールの勢い・球威もあまり感じられなかったところでしょうか。またストレートは暴れるけれど、スライダーでカウントを整えられるといった普段の投球もできませんでした。まぁこちらは高卒ルーキーとしては厳しい状況での登板になったということで、多少は同情の余地はあろうかと思います。将来のクローザー候補と個人的には期待しているので、この経験を糧にして欲しいところです。
67 古村 徹(26歳) ✕
勝又がワンアウトも取れずでの緊急登板といった部分もあり、心身共に準備が整っていなかったところは同情はできます。ただし、シーズン中でもそういったことが想定される立場にいるわけですから、どんな状況でも力を発揮できないのはマイナス材料。1イニングを投げて3安打・3失点 。こちらもストライクが全く入らず、火に油を注ぐ形に。元々細かいコントロールがないので、いかに勢いで押し切れるかといったタイプ。その悪い形が、全面に出てしまった印象です。ワンアウトを取るのに時間はかかりましたが、そこからは少しらしさも観られたのですが・・・。立場が勝又とは全然違うので、二軍からやり直してくださいと言いたくなる内容ではありました。しいて言えば、前回は無事抑えていたので、もう一度ぐらいはチャンスがあるかもしれません。
16 大貫 晋一(25歳) △
ここまで順調に実戦でも抑えてきたのですが、一度火のついた打線の勢いを止めるほどの投球はできませんでした。結果としては、2回を3安打2失点と決め手に欠ける内容。特にストライクが入らないとかそういった危うさはないのですが、高めに力のない球を投げて長打を浴びるのは、アマ時代からも気になる部分。とにかく自分の「間」を使って、独特の空気感を作って抑える先発タイプ。こういった起用だと、なかなか持ち味は出し難かったようには思えます。しかしそんなことは言っていられない立場でもあるので、どんな状況でも結果を残せるようにしないと開幕一軍入りは厳しくなってくるのではないのでしょうか。
48 京山 将弥(21歳)◯
テンポ・制球力・速球のキレ・変化球など、上茶谷同様に高い総合力があります。しかし4イニング目に四球を出したり、味方のエラーなどもあり失点。イニングが進むと怪しくなるという、昨年の傾向がこの試合でも出てしまったのは残念でした。そういった危ういところがイニングによって出てしまうのと、上茶谷比べるとボールの威力で若干劣る印象はあります。7,8勝はしてくれそうだなと思える一方、それじゃ二桁勝てるのか?と言われると、まだそこまでの絶対的なものは感じられないとも思えます。しかし今のところは非常に順調に来ており、このままゆけば開幕ローテーション入りも充分に意識できるところを見せてくれました。
(投手陣の感想)
一軍戦力としては不確実な勝又や古村が打たれたことは、それほど大きな問題ではないと考えます。二人とも、コレを糧に信頼を取り戻して行ってくれればと。先発ローテーション入りが期待される、上茶谷と京山は、この試合も順調でした。京山は、最終回に危うさが出たのは少し気になりましたが、今後の登板で改善して行ってくれればと。この時期は、課題を見つけ開幕までに修正してゆくための期間でもあるので。
(打撃陣)
16安打・12得点をした打線ですが、起亜の先発投手・
ターナー(27歳)には抑え込まれてしまったように、相手投手が一線級だと中々そうは行かないということを改めて実感した試合でもありました。この試合が今までと少し違ったのは、主力がターナーに抑え込まれて早々途中交代した後に、控え陣で大量得点ができたということ。
中でも前回のレポートで、結果は出なかったけれど一番強いスイングができていると書いた・
佐野 恵太(25歳)が、3打数3安打1打点と右に左へと打ち返し絶好調。この選手が良いのは、筒香やロペスなどの主力の代わりに出ても見劣りがしないこと。短期的には、主軸の穴を埋められるレベルに昨年からなっていました。守備も全くダメという選手ではないので、自慢の打力を活かして右翼ポジションの奪取も現実味を帯びてきました。今ならば、年間通して試合に出たら 2割5、6分・20本級 の活躍は期待できるのではと思えるぐらいの打力があります。特に気持ちが強い選手で、ランナーを返す打撃を得意としている点。こういうことができる日本人打者は貴重なので、面白い存在だと思います。
この試合で目立ったのは、代打満塁ホームランを放った・
宮本 秀明(23歳)外野手。監督は代走(足のスペシャリスト)的な位置づけで観ているようですが、この選手は身体能力も高く球際でも強く強肩でもあります。さらに打撃でも、台湾ウインターリーグではウエスタン選抜の4番を任されたり、昨年の公式戦ではファームの月間MVPを終盤に受賞したりと打撃でも潜在能力を持っている。そういったポテンシャルの高さは、何処か
梶谷 隆幸 に近いものを感じさせます。単なる代走要員といった使い方に、限定しないほうがいいと思います。その一方で、サヨナラのチャンスの場面でも登場したのですが、見逃し三振で終わりました。このへんがまだまだ、この選手が淡白というか未熟な部分を露呈したように思います。こういった部分を改善してゆかないと、なかなか上では信頼を得られないのではないのでしょうか。
その他では、スタメンから外れていた
桑原 将志(26歳)外野手に久々のヒットが出たこと。前回も書きましたが、少しずつ状態は良くなりつつあるのかなと。またここまで打撃でのアピールに乏しかった
柴田 竜拓(21歳)内野手に連日のヒットが出るなど、開幕に向けて明るい材料ではないのでしょうか。
(野手陣について)
これまでは、主力がスタメンを張る序盤には得点できるものの、彼らが引っ込むと全く点が入らないという試合が続きました。しかし前回ぐらいから、主力が引っ込んでも得点できるなど控え層の活躍が観られるようになりました。特にこの試合は10点差をつけられて同点まで取り返したのは、この控え組の活躍によるところが大きかったです。こういった試合は、今まで観られなかっただけに、高く評価できます。その一方で、いったんは2点リードしたのにも関わらず結局は同点に持ち込まれるなど、相変わらずのツメの甘さは払拭できていない。こういった部分は、必ずシーズンになると響いて来るので、残りのオープン戦の間になんとかしたいところです。
(今後の帯同)
キャンプを打ち上げ、これから開幕まで3週間余りオープン戦シーズンが本格化します。この試合までで、かなり一軍と二軍の帯同者がハッキリしたのではないかと。個人的な印象では、野手ではルーキーの
伊藤 裕季也 や
知野 直人 あたりは二軍で技量の向上を。投手では、
古村 徹 や
阪口 皓亮 あたりもまだチャンスをもらえるかもしれませんが、下で調整させた方が良いのではないかといった気はしました。二軍で調整している実績組との入れ替えが、早ければ次の試合から観られるかもしれません。

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