リリリリリリ…
目覚まし時計がなる。時計をとめる。9時だ。
「くっ」
男は布団の中で一度のびをすると、ベッドから起き上がった。
彼の名はもりた剣心。朝のはじめに必ずアプリコットティーを飲むお洒落な男

。
エンポリオ・アルマーニの青いパジャマからのぞく四肢は痩身ながらも筋肉質で、なめらかな肌は女性を彷彿とさせる。しっとりとした黒髪からは落ち着いた眼差しの瞳。端正な顔からかすかにこぼれる白い歯

。そう、彼は思慮深いと同時に爽やかメンであった。
もりたは、スリッパを履くと、キッチンに向かって歩き出した。
「今日のアプリコットティーは105円の1ℓのやつでいいや

」
高貴な顔に似合わない庶民的なことを考えつつ、彼は密かにスキップしながら、キッチンに向かった。飾らないところも彼の魅力だ。
パタパタパタ…
「む」
向かう途中、彼は台所からある匂いを感じた。
明らかな異臭。
「…アンモニア、いや、尿酸の匂い。…生ごみは昨日片付けたはず…」
もりたは胸騒ぎを覚えつつ、キッチンへのドアを開けた。
「ぽー

」
なっ…(゜Д゜)
彼は眼前に広がる光景を信じることが出来なかった。
一面…一面…
ハトの糞だらけじゃないか!!!
キッチンは勿論のこと、キッチンにつながる廊下にも点々と白と黒の形容しがたいものがついている…。
「ぽー

」
換気用の窓が空いている。こいつら、わざわざ狭い換気用の窓から、わざわざ7階の俺の部屋に侵入し、わざわざ糞だらけにしたってのか…。
しかも二羽
!
…
…
プチーン(゜Д゜)
拙者、殺さずの誓い、破るでござる!
もりたは手刀を逆に返すと、ハトに襲い掛かった。オーラのポテンシャルが極限まで高められ、両手がまばゆいばかりの光に包まれる。
「悪!即!斬!(゜Д゜)/」
グワワワッ
能の稽古で鍛え上げられた腕から繰り出された手刀のすさまじい剣圧。ハトは気迫に飲まれ動くことも出来ない。ハトがただの肉塊へと変貌しようとしたその瞬間…!!
「
ピンポーン。郵便局でーす
」
「
えっ(゜Д゜)」
バササッ
急なインターホンにもりたが気を取られた瞬間、二羽のハトは入ってきた窓から飛び立っていった…
糞だけを残して。
森田崇史。ある日の午前でした(ちゃんと掃除しました)。

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