2014/11/9 23:00
「2014秋期公演演目紹介」
秋期公演の演目についてちょっとばかり、簡潔に書きます。能初心者の目線で書くので、詳しい人の逆鱗に触れるかもしれません…があしからずご了承を。「紅葉狩(クセ)」→綺麗なオネエサン(鬼)の舞。平維茂(たいらのこれもち)がとある山(信州戸隠山)で鹿狩をしていたら、紅葉狩をしていた鬼女(見た目は高貴な婦人)に酒を盛られ眠らされた上で襲われる話。演者=鬼女
維茂と酒宴をする、鬼女の妖しくも美しい舞をお楽しみください。
「善界(キリ)」→調子に乗った天狗。中国の仏教を堕落させてしまった天狗・善界(ぜがい)坊が日本の仏教をダメにしようと京都にやってきた。しかし善界は日本の仏力の強さにタジタジになって帰っていくのであった。演者=善界坊
善界坊の悪あがき。テンポのいい曲なので聴いていて心地よい感じになれます。注目は「飛び安坐」です。
「鞍馬天狗(キリ)」→すごい天狗meets義経。幼少期の源義経が、平家の子どもたちとともに(肩身の狭い中)京都北部は鞍馬山に花見に行った時、怪しげな山伏が現れる。
平家の子どもは逃げたが、義経は彼と親しくなり、夜に二人で会う約束をする。実はそれはとても強い大天狗様で、義経の強さetc.を褒めつつ、「これからも影からお守りさしあげます」と言いながらどこかへ去っていくのであった。演者=大天狗終盤、義経を励ますシーンです。大天狗の軽妙な動きとその威容をとくとご覧あれ。
「玉鬘(キリ)」→恋に悩める美女(亡霊)。とある僧侶が大和国長谷寺にて、源氏物語の登場人物、美人で聡明、そして恋多き(ほとんど受身であるが)波乱の人生を送った玉鬘の亡霊に出くわす。何でも恋への迷いが心の雲霧となって成仏できないのらしい。僧侶の念仏のおかげで彼女は懺悔し、無事に成仏する。演者=玉鬘夜中に街角で口ずさんだら都市伝説になれそうな謡の言葉に注目です。ちなみに演者と役の性別が一致しません。
「船弁慶(クセ)」→さよなら義経の舞by静御前。源義経が兄・頼朝に疑惑をかけられ、鎌倉から落ち延びてきた摂津国大物の浦(現在の兵庫県尼崎市)で、愛人の白拍子静御前と別れる。「おまえをこれ以上危険な旅に連れ回すわけにはいかない」静御前、悲しみの舞。演者=静御前
みなさんおなじみの登場人物、静さんです。瀬戸内海の風景を思い浮かべながらご覧ください。
「土蜘蛛(相舞)」→怪物と病身の武士のバトルシーン。強くて偉い武士の源頼光(本来はよりみつですが、能ではライコウと読みます)が病気で臥せっていた。そこに胡蝶という名の若い女がやってきて薬をくれた。彼女はやがて去り、(ここから今回の相舞のシーン)真夜中。怪しげな僧侶が頼光の寝室に侵入してくる。そいつは「土蜘蛛」であった。残りは説明不要。頼光と土蜘蛛が豪快にやりあうシーンです。演者=(1)頼光、(2)土蜘蛛
能の中でももっとも派手な部類に入る、楽しい演目です。冷やかしでもいい、これは絶対観るべき!土蜘蛛がなにものなのか想像しながらまた一興かと。
今回秋期公演でやるのは能の中の「仕舞」というハイライトで、純粋な能の筋書きをつまみ食いしたものなのです。(クセ)は中盤のハイライトで、(キリ)は終盤のハイライトです。
この記事や「仕舞」を観て興味を持ってくださった方がいらしたら、ホンモノの能もご覧になってみてください。ちなみに、観世会に入ってから見に行くと↓にあるような感想が書けるようになります。たぶん。
それでは、大隈講堂でお待ちしております!

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