ちょっと思い出したことがありました・・・。
それは6年前の一月の寒い夜のことだった。
当時ボクは個展を控えていて、凍結の処方箋も確立し、多忙な時期だった。
こういうときは、イロイロな事が起こるものである。(私だけ?)
年末に母が乳がんの手術をした。
年が明けてその患部のレーザー照射をするために、毎日10時に病院へ送らなければならなかった。
母は、隣町に住んでいた。
病院はその町を抜けた先にある。
ご存知のように、冬の朝は車が車だけに、バッテリーも脆弱で朝一の立ち上がりに不安があった。
そのため、夜にその辺を車で一周して来るのである。
殆ど車に乗らないために、朝一の始動のために必要な処置だった。
その日も寒かった。
6時ぐらいに仕事を終え、お風呂に入っちゃって、酒&飯・・・となるのだがその前に車を走らせようとまた外に出た。
7時ぐらいだろうか?
エンジンを始動させ、前の道に出ようとしたときに珍しく車が右から通り過ぎて行った。
見たことのない、つまり知らない人の車だった。
田舎だから、そんなことを思う。
女性が乗っていた。
そして、通過する時にコチラを見ていた。ボクの車のヘッドライトがその顔を照らし出していた。
知らない顔だった・・・。
その車が行き過ぎてすぐに車を左の方へ走らせた。
10分ぐらい走るだけである。ヒーターも温まらないうちに帰ってくる。
オルタネーターに充電されるだろうという気休めみたいなものだ。
しばらく走り、あるところで左折して走っていると、先ほどの通過していった車とすれ違った。
アレッ?向こうは違う道を行って右折してきたのかな?
そんなことを思った。
他に車がいないし、ヘッドライトが一閃するだけで、車種などはわかってしまうものである。
乗っていた女性の顔も見えた。
やはり、コチラを見ているような気がした。
言い方を代えると・・・凝視していた。
その時は、何も感じなかったのだけれど・・・。
暗い田舎道を一周して来て、熱い風呂に入り酒!このためだけに仕事をしているのだから!
そして、風呂に入ろうと外に出ようとした時だった。
誰かがドアをノックした。
区長かな?大家の息子かな?いやいやこんな時間に来ないぞ・・・!
そしてドアを開けてみるとそこには、さっき
すれ違った車に乗っていた女性が立っていた・・・。
さっきと同じようにボクを凝視していた。
続く
スコシコワイデス〜ソウデモナイカナ・・・

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