ボクは当時映画試写会オタクで、あらゆる応募はがきを出し、結構な本数を試写会で見ていた。
映画館も、小田急ハルク裏の、新宿西口ウェスト、紀伊国屋裏の新宿ローヤル、歌舞伎町の新宿ミラノ座、大塚の大塚名画座、三軒茶屋の・・・忘れた・・・殆どが250〜500円の映画館だった。(館名アヤフヤデス)
いい環境だったよ〜!
バイトもなく、試写会もなく、ピアにもいい情報が無く、そして金も無い!( ̄▽ ̄;)
そんな時は、カメラを提げて歩いて公園へ行った。
1,000円位あれば、どこかでカツ丼でも食べて一日過ごせるからだ。
その日は、朝から晴れて春の陽気だった・・・。
公園は春休み前という事もあって誰もいない。
グランドの真ん中に立ち、カメラをグランドレベルに置き辺りを見回す。
芝生は、柔らかな弾力で寝そべったボクを受け止める。
春は近いんだなぁ〜
自慢の24o広角を付けて360度撮影をする。
別に意味は無い。
今度は環八側の隆起している芝生の方へ歩いていった。
そのころから、晴れていた空が怪しくなって来た。
曇りだした空から、少し雪なども舞って来た。風も吹き始めた。
もう、今日はバスで帰ろうかな・・・
アパートの近くの蕎麦屋サンでカツ丼食べよ〜
そんな事を考えながら、カメラを覗きながら歩いていた時だった。
そのフレームに人が入り込んだ。
その人は、大きめのボストンバッグを両腕に提げて、明らかにボクのほうへ向かって歩いてくる。
弱気に後ろを振り返ってみても、そこには誰もおらず、しかも出入り口もない。
その人はドンドンドンドンボクのほうへと歩いてくる。
その男の持っている大き目のボストンバッグは明らかに公園とミスマッチだった。
ドンドン近づいて来るのにいつまでカメラを覗いているのが間抜けだった。
カメラを胸に下ろしてその男を見た。
なんだかボクに向かって手を振っている・・・。
全然知らない人なのに・・・。
( ̄▽ ̄;)
続く

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