その2月・・・。
休みの日曜日、ボクはあることに気づいた。
塩水・・・塩購入して、お湯で溶かして・・・面倒だな
濃度管理も曖昧だし・・・
塩水・・・何処かにないかな?
自然の中に・・・
海か・・・海水か・・・確か14%ぐらいか?
推理する濃度にピッタリじゃないか・・・!
なんで今まで気がつかなかったんだ・・・。
海に・・・行かなきゃ・・・
だが、海に行ったのはその年のひまつりが終わったある五月の事だった。
仕事再開とひまつりの準備があったからだ。
河原の石をかたどった皿にその表現はまだ無かったけれど、それは灰釉を掛け、それなりの形になった。
そうして売れた。
二回目のひまつりは、白化粧も落ち着いた事もアリ、炭化の今の形が出来る前ではあったが、相当の反響だった。
テントに遊びに来た友人Oとビールを呑んだ。
ボクはOに礼を言った。
オマエに返せるものなんて何もないよな・・・
忙しい時は水道屋・・・手伝うよ
だが、お互いにそんな時がもう来ないだろうと思っていたし、そう願っていた。
このひまつりから今まで、口幅ったいがバイトをしなくても済んでいる。
そうしてひまつりが終わった。
ある五月の日曜日。
ボクは途中で10リットル入りの赤いポリタンクを購入し、海へ向かった。
その心は晴れやかだった。
この世界でやっていける・・・
海は五月の連休後という事もあって、砂浜には多くの人が出ていた。
赤いポリタンクを持って砂浜に降りた。
太平洋の荒い波が寄せてくる。
海だ・・・。
海も久しぶりだ・・・。
赤いポリタンクを持った姿は少し異様だったのか、ミンナこっちを見ている気がした。
ボクはお構い無しに、スニーカーのまま海の中に歩いていった。
ポリタンクの蓋を開け、ゴボゴボと海水を入れた。
海の水を持って帰るヤツなんて誰もいないからなぁ〜
熱帯魚の水槽ぐらいか?
海水は冷たく、気持ちよかった。
そして塩分が粘った。
ポリタンクを満タンにし、砂浜に上がり腰を下ろした。
やるだけやるさ・・・
ダメで元々さ!
また一からやればイイ・・・
しかしこれは成功するな、という確信めいたものがあった。
帰り道で何を食べていこうかな・・・
五月の初夏の陽気の中で、海を見ながらいつまでも考えていた。
続く

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