その夜の宴会で、Tは驚くような話をした・・・。
K子さんのことである。
いつも集る呑み屋は、知り合いの割烹料理屋風居酒屋だった。
つまり昼は和食のランチなどもある店だった。
ここのカツ丼は、果てしなく美味かった。
Tは店の近くの県立病院を指差して言った。
K子さん・・・入院しているんだよな・・・今。
そうなんだ・・・
なんなの?
まだ詳しくはわからないらしい!
呑んでいるので、そうツッコンだ話しはしなかったのだと思う。
お見舞い行くか・・・?
Tが言った。
ボクは行って来たよ・・・
この前さ・・・ウチの病院に来たんだよ。ボクに会いに。
「T君、ワタシ調子が悪いんだけど・・・」
ミタイナコト言うからさ、県立にすぐ診察に行けって言ったんだよ・・・
薬剤師に何が出来るのよ・・・
でさ、K子さん・・・離縁されたんだって
みんな黙ってしまった。
そういう家だったのかな・・・なんか虚しいな・・・
そんなものなのかな・・・
(K子さんの病名は一週間後に判明するのだが・・・)
今、どんな気持ちで入院してるのかな・・・
みんなそれぞれにK子さんの記憶を紡ぎだしているようだった。
その飲み屋は2階だった。
窓からはその病院の病棟が見えた。
まばらに明かりは点いているが、殆どは消灯されていた。
あそこのベッドに寝ているのか・・・
今何を考えているのかな・・・
その時、急にボクの脳裏にある出来事がフラッシュバックして来た。
K子さんとの出来事だ。
いままで何故記憶として甦らなかったのか・・・?
中一の秋のことだった・・・。
続く

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