社長Uさんの手紙にはこうあった。
私の生まれた九州である街の復興のために仕事をしたい。
会社を移転する。
九州の風を感じて生きてゆきたい。
そんな主旨だった。
そして電話だ。
陶ちゃん・・・そういう訳なんです
九州に帰りたくなっちゃって・・・
向こうから連絡しますから・・・
いきなり九州て・・・
で、陶器はどうなるのだろう・・・
そう思いかけた時、社長が言った。
今までの取引ね、直接お渡ししますから
心配しなくて大丈夫ですよ・・・
○○会だ。
正式には酒好きなら誰もが知っている会社だ。
そこと直接取引き?
少し不安になった。
Uさん、九州では陶器は扱わないの?
ん〜多分。地元の事業体といろいろ企画立案して実行していかなきゃならないからね〜
それに、焼き物は、陶ちゃんみたいな人に、いじめられるからなぁ〜
そう言って笑った。
ボクもつられて笑った。
陶ちゃん、いろいろありがとう。
ボクも勉強なったよ。○○会と上手く取引してね
Uさん、いつも生意気言ってスミマセンでした。
ボクに出来る事があったら・・・言って下さい。
ありがとう。
焼き物・・・始めたら連絡しますね。
それじゃぁ〜・・・元気で。
Uさん・・・ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
ボクに出来る事なんて何も無い事は判っていた。
あの夏の日、貰った酒を目の前で呑みだしたり・・・電話で怒鳴りつけたり・・・オレはなんというやつなんだ・・・。
突然の別れはいつも熱い後悔を呼び起こす。
赤いバンダナを巻いて撮ったポラロイド写真。
サンプルが数枚ある、
その写真のバンダナの赤い色は薄れてきたけれど、社長Uさんとの交流の記録のヒトコマであったことに変わりはない・・・。
*社長Uさんは検索すると、その九州のある地域のオピニオン・リーダー で頑張っています。さすがだ!
*○○会は、当然いまだに取引があります。
この会社に出会わなかったら、今のボクは無いのだから。
見捨てなかったUさんに感謝です!

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