閑話休題つうことで・・・カナブン話です〜
小学生高学年の頃まで、子供部屋の屋根から掛かるように、ブドウ棚があった。甲州ブドウとマスカットの二種類だ。
夏になるとこのぶどう棚はたくさんの実をつけた。
家庭の植栽レベルでは無かった。
それは甘くて美味しかった。
ある時、子供が(ボクのことだが)ふざけて、屋根にぶら下がり、振り子のように足でぶどう棚を蹴ったりして遊んでいた。
その瞬間、アシナガ蜂がボクのまぶたを刺した。
それは相当痛かった。
近所の医者に行ったが、そこの老女医は、まぶたにキンカンを塗ってくれただけだった。キンカン・・・アンモニア臭がボクを包み、開かないまぶたとその痛みに、ぶどう棚を片目で見上げるのがやっとだった。
当時十姉妹を飼っていた。
朝、ぶどう棚にそれをぶら下げた。
何かの降りに折りに庭に出てみると、その木で出来た鳥かごに相当太い蛇がぶどう棚から垂れ下がり、鳥かごの十姉妹を狙っていた。
金網があるんだから大丈夫だったのかも知れないが、ぶら下がった蛇がさっとボクらの方を振り返った時にはビビッた。
兄が木刀を取り出しその蛇を払いのけた。
そのあとは覚えていない。
そうして「カナブン」だ。
なんだかその年は異常発生だったのか?
退屈した夏休み、ボク達は「カナブン」を箱に集めた。
箱はなんだったのか?
ガサゴソゴソソ「カナブン」の音がする。
2004/9/4
「三本松の夕景 1」で登場するモノ。
2B弾!
2B弾という爆薬が流行った。
マッチ箱の燐にこすると、煙が出て約五秒後ぐらいに爆発する。
子供のおもちゃにしては、危険なものだった。
たいした威力は無かったけれど・・・。
「カナブン」のいっぱい入った箱に、その2B弾を何本か摺り、「カナブン」の中に押し込み蓋をする。
ドン!
という鈍い音と青白い煙が箱から出てくる・・・。
しかし「カナブン」は数引きも死ななかったような気がする。
足や羽に損傷があったりもしたが、どうだったのか?
それを夢中になって何度となく繰り返した。
ぶどう棚の下の日陰は硫黄の匂いと、「カナブン」の死骸でいっぱいになった。
程なくそれも飽きて、「カナブン」を土に埋めた。
たぶん、そうとうな罪悪感が芽生え始めていたのではなかったか?
そんなにいろんなものが棲息してた割には、ブドウは元気に実をつけ夏休みに潤いを与えていた。
あれから40年か・・・
工房にて「カナブン」に復讐されたわけだ。

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