彼の両親に挨拶をして、彼の部屋のある二階に上がった。
どうしてるのよ・・・
なんか寝付き悪くてね・・・
変な夢を見るんだよ
その拍手もだけどさ・・・
・・・・
退学しようと思って・・・
会話が途切れた。
○○呼ぶか・・・?
ボクは友人の名前を言った。
じゃぁ〜買出しに行ってくるよ。
外から電話する・・・○○に・・・
ボクはいったんその部屋を出たかった。
重く落ち込んでいる部屋にはいたくはないものね・・・。
町の酒屋でサントリーホワイトを買った。
当時はビールというよりもコレを氷無しの水割りで飲んだ。
たまに夜の味噌ラーメンチェーン店に行き
餃子とビールチョウダイ〜
なんてやってる普通のイタイケな高校生だった。笑
友達に電話して、三人が集まった。
計五人。
重い話を紛らわすには充分だった。
いつものバカ話・・・
ボク達はいつも時間をもてあましていた。
夜になり、解散なのだが、ボクともう一人は泊まることになった。
結構酔っ払ってしまったからだ。
そして深夜になった。三人は寝静まっていた。
拍手の音が聞こえる・・・
そう言って彼が飛び起きた。
ボクにも聞こえた。
オイ・・・
夢じゃね〜よ!
電気点けてみろよ・・・
蛍光灯を点けた。
みんな立ち上がって周りを見渡した。
パタパタパタパタ・・・・
パタパタパタパタ・・・・
そんな音が聞こえる。
ボクは壁際のベッド上にある裏窓を見ていた。
ここじゃね〜か・・・?
一気にカーテンを開けた。
その闇を映し出す窓には、大型の無数の茶色の蛾が窓にとまっていた。
パタパタパタパタ・・・・パタパタパタパタ・・・・
拍手の正体だった・・・。
窓いっぱいにホバリングする蛾は・・・少し気持ち悪かった。
ボク達は顔を見合わせて、カーテンを閉めた。
彼が高校を退学したのはそのすぐあとだった。
この稿了。

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