T子は、先生に促され廊下に出た。
泣き声交じりに何か話してる。
やがて二人が教室に戻って来てT子は席につき、先生が言った。
なんでもないから騒ぐな!
なんでもないわけないじゃん・・・
みんなそう思いながら休み時間を待った。
ベルが鳴り休み時間。
T子の所に集まるでもなく、T子が勝手に話し始めた。
また怯えたような顔になった。
アソコの六年のトイレ・・・青い手があったの・・・
トイレの中から青い手が出ていたの・・・
嘘じゃないよ・・・
そう言って今度は目をパチパチとさせて黙った。
その姿が少し怖かった。
青い手?
便器を覗き込んで、普通の手が出ていたとしても充分怖いのに・・・青い手?
ボク達は放課後を待った。
掃除も終わり、六年の校舎の近くのトイレに行った。
W先生のときのように、そのトイレに人だかりがあった。
六年生と先生だった・・・。
何をしているんだろうか?
掃除はもう終わって帰るところだし・・・
その近くに行ってみた。
T子も一緒だ・・・。
上級生グループの中心から話し声が聞こえる。
先生に言ってるようだ。
途切れ途切れに聞こえる・・・
青い手・・・
T子がこちらを見ながら怯えたような表情をした。
翌日、二年生への奉仕みたいな時間があった。
給食当番は五六年生だったから、なんだったのか?
午前中の時間である。
図書関係だろうか?
教室に入って作業をし始めたとき、遅れてそのクラスの女生児童が入って来た。大きな音がする扉の開け方だったのでみんなが見た。
その子はボク達上級生の所に走って来て言った。泣き顔だった。
今ね、青い手がね・・・トイレに・・・
そう言って泣き出した。
またかよ・・・青い手・・・。
ボク達上級生は、先生を呼んでくるグループと、青い手を見に行こうというグループに分かれて教室を出た。
ボクは青い手を見る側だった。
その二年生を連れて、他の教室に聞こえないように廊下を歩き一年生の教室に近いトイレに向かった。
二年生が女子トイレの方を指差した。
何処のトイレ?
彼女は真ん中を指差したっきり、女子トイレの入り口から入ろうとしなかった。
思い切って二三人でそのトイレの前に行き、一気に扉を開けた。
そして便層を覗き込んでみると・・・青い手がかすかに見えたのだ。
ボクは、見てしまったのだ。
それは目を離したとたんに消えてしまった。
そこに先生がやって来た。
ボク達は自分の教室に戻り、T子も含めてその話で沸いた。
4年のトイレはどうなのか?
じゃぁ〜行ってみるか・・・
つまり学校中が騒然とし始めたのである。
話は尾ひれを付けて増殖する。
便所に見知らぬ人がいる。その人が青い手だった。
青い手がオイデオイデをしている。
裏の道で青い手が動いていた・・・。
青い手の出る便所に行ける女子児童はいるだろうか?
男子児童は、小学校で 大 をすることは殆どなかったので被害は少なかった。問題は女子児童である。
次第にパニック状態に陥る学校。
実際に見てしまったんだから、コレは先生達も沈静化できなかった。
この事件の為に、町の警察まで来て調査する事態となった。
コレが何日ぐらい続いただろうか?
ボク達の学校は壊滅寸前だったのか?笑
ある日、意外な方向からその解決の糸口が見つかった・・・。
続く。

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