中原中也
「帰郷」
柱も庭も乾いている
今日は良い天気だ
橡 (えん) の下では蜘蛛の巣が
心細そうに揺れている
山では枯れ木も息を吐く
あゝ今日は好い天気だ
路傍の草影が
あどけない愁 (かなし) みをする
これが私の故里だ
さやかに風も吹いている
心おきなく泣かれよと
年増婦 (としま) の低い声もする
あゝ お前はなにをして来たのだと ...
吹き来る風が私に言う
ボクは高校生になった。
あゝ お前はなにをして来たのだと ...
吹き来る風が私に言う
敗北感、挫折感・・・それが何から来るものかは判らないが、常につきまとっていた。全共闘の終焉を、地方から見ていたからか?
大学で東京に出、戻ってきた時にこういうんだろうな・・・
あゝ お前はなにをして来たのだと ...
吹き来る風が私に言う
ボクは例の「
ガラスの部屋1・
2」予告編&「サウンドオブミュージック」のころから映画ファンになりつつあった。
中三の頃から、週末は映画館のあるM市に出かけていった。殆ど一人だった。友人と行くようになったのは高校になってからだ。兄がM市に住んでいたから行くのに慣れていた、と言えるだろうか。
高校受験を控えた12月の始めの日曜日に「イチゴ白書」を観に行った。
行き着けの映画館「Mオデオン座」。二本立て350円のリバイバル館だったが、それは地方では新作のロードショウと同じ意味を持っていた。
その帰りに偶然J先輩に会った。
彼は一時カトリック教会に来ていた先輩だった。
彼は、高校生らしくボクを喫茶店に連れて行ってくれた。
意識して外で呑んだ、初めてのコーヒーは、甘美で美味しかった。
受験の話になり、彼はその店を出たあと、一緒に書店に付き合ってくれて、問題集などを選んでくれた。
そしてJ先輩と同じ高校に入るのだが・・・。
その夜、ボクの頭の中は「イチゴ白書」で一杯だった。
高校に入り、そのオデオン座で一人の女性と知り合うのだが、その時まであと一年ぐらいある。
それまでニューシネマの洗礼を受けた、このオデオン座と、映画について記憶の糸を手繰るとするかな!
「中也1」は
「SILBAR用心棒・憂鬱なる疾走」にて!

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